2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
辻 和彦 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10114563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 高典 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (10327687)
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Keywords | 液体 / 高圧力 / 相転移 / 構造 / 放射光 / X線回折 |
Research Abstract |
液体に圧力を加えて体積を減少させると、原子間の距離が縮まり、相互作用が変化する。とくに、共有結合性をもつ液体金属では、相互作用に方向依存性があり、原子間距離の収縮は異方的に起こる。本研究は、液体の構造と電気的性質の圧力変化を、種々の結合をもつ液体金属・半導体について系統的に調べ、圧力誘起の相転移の様相が結晶とどのように違うのか、転移後の構造がどのように異なるのか、また転移に伴って物性がどのように変化するかを調べることを目的とし、高圧力下の実験を行った。 X線回折実験は、放射光とマルチアンビル高圧力発生装置を用いてエネルギー分散法により行い、液体の構造因子S(Q)および二体分布関数g(r)の圧力変化を得た。液体CdTeにおいては、液体の構造因子S(Q)や二体分布関数g(r)が3つの圧力領域0.5GPa〜2GPa,3GPa〜7GPaと9GPa〜23GPaで、それぞれ別の形状を示すことを明らかにした。これらのいずれの変化もかなり狭い圧力幅で急激に起こっている。この変化は、液体14族元素や液体III-V化合物の構造変化が10GPaを超える広い圧力幅で連続的に起こることと対照的である。液体ZnSeを加圧すると、ZnS的な局所構造からNaCl的な局所構造に、変液体HgTeを加圧すると、NaCl的な局所構造から、より密な局所構造に連続的に変化することがわかった。これら、結合のイオン性の大きな物質の液体の構造の圧力変化は、結晶での構造変化に近い。さらに、液体AgIにおいて加圧による構造の急激な変化が、液体CuIにおいて連続的な変化が見出された。 これらの結果を他の液体の構造の圧力変化と合わせて解析することにより、四配位共有結合性物質の液体の構造の圧力変化が、結合のイオン性によって系統的に変化することが明らかになりつつある。 また、高温高圧力下での電気的測定を行うために、対向アンビル装置で高圧発生空間の体積を大きく取れるようにアンビルの構造を改良し、高圧力高温発生の技術開発を行っている。
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