2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340110
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
辻 和彦 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10114563)
|
Keywords | 液体 / 高圧力 / 相転移 / 構造 / 放射光 / X線回折 |
Research Abstract |
本研究は、液体の構造と電気的性質の圧力変化を、種々の結合をもつ液体金属・半導体について系統的に調べ、圧力誘起の相転移の様相が結晶とどのように違うのか、転移後の構造がどのように異なるのか、また転移に伴って物性がどのように変化するかを調べることを目的とし、高圧力下の実験を行った。 X線回折実験は、放射光とマルチアンビル高圧力発生装置を用いてエネルギー分散法により行った。液体InSbの局所構造の圧力変化は結晶の圧力誘起構造変化とは異なり、構造の変化は連続的に起こり、液体の高圧力相の構造は、結晶にはない新しい構造と考えられる。このような構造変化は、他のIII-V化合物に共通のものと考えられ、結晶相と液体相では異なった圧力誘起構造変化が起こることが明らかになった。 液体CdTeにおいては、液体の構造因子S(Q)や二体分布関数g(r)が3つの圧力領域0.5GPa〜2GPa,3GPa〜7GPaと9GPa〜23GPaで、それぞれ別の形状を示すことを明らかにした。これらのいずれの変化もかなり狭い圧力幅で急激に起こっている。液体ZnSeを加圧すると、ZnS的な局所構造からNaCl的な局所構造に、変液体HgTeを加圧すると、NaCl的な局所構造から、より密な局所構造に連続的に変化することがわかった。これら、結合のイオン性の大きな物質の液体の構造の圧力変化は、結晶での構造変化に近い。さらに、液体AgIにおいて加圧による構造の急激な変化が、液体CuIにおいて連続的な変化が見出され、結果を解析中である。 また、液体IV-VI化合物の構造の圧力変化を調べた。液体GeSe、液体GeTe、液体SnTe、液体PbTeについて6GPaまでの高圧力下で測定を行い、異方的な構造変化を観測した。さらに詳細な解析を行っている。 また、高温高圧力下での電気的測定を行うために、対向アンビル装置で高圧力高温発生の技術開発を行い、また、パルス電流による直接加熱法による電気抵抗測定法を開発している。
|
Research Products
(4 results)