2004 Fiscal Year Annual Research Report
高圧合成を中心とした4d,5d遷移金属酸化物の新物質探索及びその物性解明
Project/Area Number |
16340111
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
室町 英治 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, 所長 (30343833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 裕也 独立行政法人物質・材料研究機構, 岩手国際研究拠点, 研究員
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Keywords | 高圧合成 / 遷移金属 / 酸化物 / 物性 / 磁性 / 低スピン / 超伝導 / 物質探索 |
Research Abstract |
本年度は、新規4d,5d遷移金属酸化物を発見及び低スピン状態による興味深い物性を示す物質探索と物性解明を意図していた。 高圧合成により4d遷移金属酸化物NaRh_2O_4を新たに発見し、さらにそのNaをCaで全率置換できることも明らかにした。電気伝導性、磁性、比熱、熱伝特性の測定結果より、NaRh_2O_4がn型の電子相関の比較的強い金属、CaRh_2O_4が半導体であることを示した。固溶により金属から半導体に連続的に変わる。 低スピン化合物である超伝導体Na_xCoO_2・yH_2Oの超伝導転移機構を明らかにするために、他機関との共同研究を含めさまざまな実験を行った。その結果を列挙すると、次のようになる。 1、別の構造をもつ新たなCo酸化物超伝導体を発見し、その格子定数と転移温度の関係が従来のものと同じであることを明らかにした。 2、Co核の核四重極共鳴により、本物質が強磁性相関の強い超伝導体でそれが強いほど転移温度が高くなることを明らかにした。 3、光電子分光により銅酸化物高温超伝導体と同様に擬ギャップを形成することを明らかにした。一方、類似の構造の非超伝導体では擬ギャップが小さいあるいはないことから、超伝導転移機構に擬ギャップの形成が重要であることを示唆した。 4、Naを比較的多くオキソニウムイオンで置換した試料を合成し、Co核の核四重極共鳴によりそれが超伝導ではなく磁気秩序を示すことを明らかにした。 5、超伝導体の母物質であるNa_xCoO_2(x=0.70-0.78)を合成し、その各種物性を測定した。それにより本物質が非常に電子相関の強い金属であることが分かった。 6、Na_<0.7>CoO_2のCo核核磁気共鳴により、本物質が強磁性相関の強い金属であることを明らかにした。 このように本超伝導体の転移機構の解明にせまり、この超伝導にはCoO_2面上の磁気相関が重要であることを明らかにした。
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Research Products
(12 results)