2005 Fiscal Year Annual Research Report
高圧合成を中心とした4d,5d遷移金属酸化物の新物質探索及びその物性解明
Project/Area Number |
16340111
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
室町 英治 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, 所長 (30343833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 裕也 独立行政法人物質・材料研究機構, 若手国際研究拠点, 研究員 (60421400)
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Keywords | 高圧合成 / 遷移金属 / 酸化物 / 物性 / 磁性 / 低スピン / 超伝導 / 物質探索 |
Research Abstract |
本年度の成果は以下の3つに大別できる。 1.低スピン化合物Na_X(H_3O)_ZCoO_2・yH_2Oの超伝導機構の解明 低スピン状態をとるNa_XCoO_2・yH_2Oの超伝導機構の解明を行った。各核種でのNMRにより本超伝導がスピン3重項のクーパー対を形成しており、その形成には強磁性的な磁気相互作用が重要であることを示した。さらに、超伝導相図の作成によりCoO_2層の厚みが超伝導発現に重要であることを示唆した。これらは理論的に提唱されている超伝導機構と合致する結果である。 2.高圧合成による(Sr_<1-x>Ca_X)CoO_3(x=0-0.8)の合成と物性解明 高圧合成により酸素不定比性δの非常に小さなSrCoO_3を合成し、それがδの大きなものより60K程度も高い転移温度をもつ強磁性体であることを明らかにした。一方、同価数のCaで0.8まで置換できること及びそれにより強磁性転移温度が一旦上昇した後急激に減少することも明らかにした。また、x=0.2において7Tで約5.5%と比較的大きな磁気抵抗効果を発見した。金属強磁性体となる原因として半金属となっている可能性を挙げた。 3.高圧合成によるSr_<2-x>A_XCoO_4(A=Y or Ho,x=0-1)の合成と物性解明 高圧合成により固溶系Sr_<2-x>A_XCoO_4(A=Y or Ho, x=0-1)の合成に初めて成功した。x=0では転移温度255Kの強磁性体であるが、A原子の置換により転移温度が急激に減少しx=0.67付近で強磁性転移が消失することを明らかにした。置換によりCoは3価と4価の混合原子価状態になるが、磁化測定結果からCoイオンは中間スピン状態であると考えられた。また、x=0において7Tで約6.5%の磁気抵抗効果を見いだした。 以上示した通り、研究目的に従って「低スピン状態による興味深い物性」という観点での物質探索及び物性解明を行った。
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Research Products
(19 results)