2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340122
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
深尾 浩次 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (50189908)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猿山 靖夫 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (50162532)
|
Keywords | エイジング現象 / 高分子ガラス / 動的誘電率 / 動的熱容量 / メモリー効果 / 若返り効果 / 誘電緩和スペクトロスコピー法 / 温度変調DSC |
Research Abstract |
本研究では構造ガラスの代表である高分子ガラスを対象として,そのガラス状態での非平衡緩和現象を明らかにすることを目的とする.具体的には,ランダム系で見られるエイジング,若返り現象,メモリー効果の有無,その特徴を明らかにし,高分子ガラスで見られる履歴現象のスピングラスなどのランダム系との相違点,類似点を明確に抽出し,ランダム系の履歴現象の分類を可能とする.このような解析を通して,これまでスピングラス系で成功を収めている様々な理論的なモデルの構造ガラスへの適用の可能性を明らかにする.本年度は種々の感受率測定が可能な測定システムの構築を行い、ガラス転移温度近傍でのエイジング過程において、誘電率、熱容量のエイジング時間依存性を調べた。以下に本年度の成果を列挙する。 1)ポリメタクリ酸メチル(PMMA)を対象として、そのガラス状態において、種々の等温度条件下で動的誘電率を測定し、等温度条件下では誘電率はエイジング時間とともに低下することを見出した。これは、非平衡状態であるガラス状態から、ある熱平衡状態へと向かうことにより、より揺らぎの小さな状態が実現されていることを示唆していると考えられる。 2)さらに、ガラス状態において、温度サイクル測定(エイジング温度をT1→T2→T1のように変化させる。)を行うことにより、高分子ガラスにおいて、若返り効果およびメモリー効果が観測されることが明らかになった。 3)同様のサンプルに対して、温度変調DSCを用いて、動的熱容量の測定を行なった。その結果、誘電率の場合と同様に、等温度エイジング条件下で動的熱容量が減衰すること、および、メモリー効果、若返り効果が見出されることが明らかとなった。
|