2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340122
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
深尾 浩次 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教授 (50189908)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猿山 靖夫 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (50162532)
|
Keywords | エイジング現象 / 高分子ガラス / 動的誘電率 / 動的膨脹率 / メモリー効果 / 若返り効果 / 誘電緩和スペクトロスコピー / ラベル高分子 |
Research Abstract |
本年度の研究実績を以下に示す。 1)電気容量の測定によりポリスチレン薄膜のエイジングダイナミクスを調べ,等温エイジング過程では電気容量の実部はエイジング時間とともに増加するのに対して,虚部は減少することを明らかとした.この実験結果から,実部および虚部のエイジング時間依存性はそれぞれ膜厚と誘電感受率の変化に対応しており,この系では膜厚(体積)と誘電感受率の同時測定が可能であることがわかる.また,体積および誘電感受率はいずれもメモリー効果を示すが,若返り効果については誘電感受率では明確に観測されるのに対して,体積に関してはほとんど観測されなかった.これより,高分子のガラス状態では体積のような巨視的な物理量はエイジングにより一方的に変化するだけであるが,ある周波数での誘電的応答に限れば明確な若返りを示すことが明らかとなった. 2)PMMAとシリカナノ粒子とのナノコンポジットのエイジング率を蛍光スペクトロスコピー法により調べたところ,エイジング率は分率0.4器のナノコンポジットで1/20に低下することがわかった.このことにより,エイジングを担っているβ過程の緩和強度が界面での水素結合により減じることが原因であることが誘電測定により示された. 3)色素DRIでラベルしたポリスチレンのガラス転移とセグメント運動の緩和ダイナミクスを誘電緩和スペクトロスコピー法により調べた.ラベルしていないポリスチレンと比較して,ガラス転移温度以上でのα過程に起因した誘電損失のピーク強度は65倍大きくなっているが,ガラス転移温度,その膜厚依存性はラベルしていないポリスチレンとほぼ同じであることがわかった.この結果より,ラベルしたポリスチレンとラベルしていないポリスチレンの多層膜を用いることにより,薄膜内のダイナミクスの分布測定が可能であることが示唆された.
|
Research Products
(5 results)