2006 Fiscal Year Annual Research Report
高精度重力・電磁気連続観測にもとづく火道内マグマ上昇機構の解明
Project/Area Number |
16340124
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 秀文 東京大学, 地震研究所, 教授 (20113649)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 純 東京大学, 地震研究所, 助手 (40262084)
歌田 久司 東京大学, 地震研究所, 教授 (70134632)
|
Keywords | 重力観測 / 電磁気観測 / 火道 / マグマ / 伊豆大島火山 / 炭酸ガス |
Research Abstract |
平成18年度は,伊豆大島火山の山頂火口近傍に構築した重力・電磁気・CO2連続観測システムによる観測を継続するとともに,山頂火道内でのマグマ移動を捉えるための3次元電気伝導度構造インバージョン手法の開発および深部からのマグマ上昇・蓄積・脱ガス過程を捉えることを計画し,以下の知見を得た. 1.重力観測 (1)山頂観測点における重力連続観測の基準点とするため,地震研究所の研究協力者により,山麓の伊豆大島火山観測所およびカルデラ縁にある既設中継観測点2カ所での絶対重力連続観測および島内全域の相対重力測定が実施された.有意な重力変化は認められず,現在,山頂火道内浅部へのマグマ移動は生じていない. 2.電磁気連続観測 (1)山頂火口周辺5カ所に設置したACTIVE(制御電流を用いた群列時間領域電磁探査法)受信機による観測データは,無線LAN経由で順調に取得できた. (2)山頂火口下の3次元電気伝導度構造変化を推定するため,CSMT法3次元インバージョン手法を開発した. (3)山頂火口地下見掛け比抵抗に2006年8月頃に若干の低下が認められた. 3.山頂火口周辺での地中炭酸ガス濃度調査と連続観測 三原山頂周辺の地中CO2高濃度地域を特定し,山頂火口東部と西部の高濃度域近傍での連続観測を実施した.大島全域の地殻変動および地震活動の観測結果から,地下深部からのマグマの供給/蓄積による山体膨張が一様ではなく,時間・空間的に変動していることが分かった.特に,膨張加速後にやや収縮する現象は,噴火準備過程(マグマ溜りに揮発成分が濃集して浮力を獲得し,再上昇する条件がどのように達成されるかということ)と密接に関係する.山体膨張の加速,大島周辺のやや深い地震の増加,およびCO2濃度増加との間に対応関係が認められることは,これらが大島火山の地下深部からのマグマ供給率の増大によって引き起こされていることを示唆する.
|
Research Products
(1 results)