2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340129
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶋本 利彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20112170)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小畑 正明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20126486)
金川 久一 千葉大学, 理学部, 教授 (40185898)
福地 龍郎 山口大学, 理学部, 助教授 (90212183)
堤 昭人 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90324607)
柴崎 文一郎 独立行政法人建築研究所, 上席研究員 (20344012)
|
Keywords | 地震 / 地質学 / 固体地球物理学 / 沈み込み帯 / 岩石レオロジー / 断層帯 / 摩擦発熱 / 地下流体移動 |
Research Abstract |
本研究の目的は,断層研究,断層のレオロジー的性質(構成則)を決める実験的研究,理論・シミュレーションによる断層の挙動解析を融合することによって,沈み込みプレート境界の挙動の多様性と地震の発生機構を明らかにすることである.今年度(最終年度)は,研究代表者が開発した容器内変形透水試験機に封圧制御用の油圧サーボ式システムを取りつけて,同試験機を本格的な三軸試験機として完成させた.また,高速熱水摩擦試験機(2号機)を整備して,世界で初めて間隙水圧がかかった状態で数m/secに達する地震性断層運動を再現する実験を可能にした.今後,両方の試験機を用いて,沈み込み帯で重要な岩石の水理学的性質と流体に富む条件下で断層の高速摩擦を調べることが可能になった.研究においては,以下の成果が得られた.(1)花折断層,中央構造線の断層帯の実測された浸透率構造に基づくthermal pressurizationの解析結果を拡充して,2つの論文として報告した.(2)摩擦溶融実験をさらに発展させ,摩擦溶融現象はStefan問題を解くことによって解析が可能であることを提唱し,断層深部ではメルトは断層の潤滑剤として働くことを示した(3つの論文として公表).これらの2つの機構によって,断層は地震学的結果に非常に近いすべり弱化距離,Dcをもつことが示され,断層研究と地震学が非常に近づいてきた.(3)母島海山から採取した蛇紋岩を用いてより詳しい摩擦実験をおこない,低温型蛇紋岩が伊豆マリアナ海溝で巨大地震の発生を抑えている可能性を示唆する結果を得た(今後,実測された性質に基づく断層挙動の解析が必要).(4)地震発生ゾーンの下限付近で断層の構成則に流動的な性質を含めることによって,スロー地震の発生をシミュレーションで示した.一連の研究によって,沈み込み帯の地震活動の多様性に関連する断層の多様な性質が明らかになった.
|
Research Products
(6 results)