2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340142
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 啓彦 鹿児島大学, 水産学部, 助教授 (50284914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁科 文子 鹿児島大学, 水産学部, 助手 (80311885)
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Keywords | 黒潮 / 大陸棚斜面 / 斜面反流 / 東シナ海 / 海洋観測 / 流速 / 係留観測 / 組織化 |
Research Abstract |
東シナ海の大陸棚斜面の黒潮直下では,海底付近で強化された反流がしばしば観測される。この反流-斜面反流-の東シナ海全体での持続性や空間的広がりは十分に把握されていない。本研究の目的は,従来の観測海域よりも南方(約27〜29°N)で長期係留流速計観測を行い,斜面反流の時間空間特性を明らかにすることである。そのために,当該海域の大陸棚斜面(水深約700m)に沿って,2004年11月〜2006年11月まで4地点で係留流速計を海底上200m(上層)と100m(下層)に設置するとともに,年1回の頻度で斜面反流を横切る複数の観測線上で水温・塩分・流速断面分布を測定する。今年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 1.観測概要 2006年11月17〜29日に,鹿児島大学水産学部附属練習船「かごしま丸」による実習の一環として,4地点全てで係留流速計を回収するとともに,斜面反流を横切る4断面でXBT観測(24点)および船底ADCP観測(75kHz)を行なった。2005年度に設置した全流速計(8台)を無事回収した。バッテリー不良によりデータ取得期間が短縮された1台を除けば,1年間の良好なデータを取得した。 2.解析結果 2004年11月〜2006年11月までの2年間の4地点のデータを解析した。2年間平均値は,下層では4地点とも反流を,上層では北側2地点のみ反流を示した。この南北構造は,黒潮の陸棚斜面からの剥離点の北と南で,斜面反流の形成要因が異なることを示唆する。斜面反流は,4地点とも30〜40日周期変動に伴われて現れるが,南側2地点では,この変動が組織化して約100日の持続的反流を形成していた。このことは,斜面反流は単に個々の渦の南向き成分の反映ではなく,個々の渦が組織化した結果(下層での再循環または帯状流)であることを示唆する。なお、この結果は2007年度日本海洋学会春季大会で発表した。
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Research Products
(1 results)