2007 Fiscal Year Annual Research Report
極夜ジェット振動形成維持メカニズムと力学的上下結合の解明
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16340144
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
黒田 友二 Japan, Meteorological Research Institute, 気候研究部, 主任研究官 (80343888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小寺 邦彦 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70343887)
柴田 清孝 気象庁気象研究所, 環境応用気象研究部, 室長 (50354494)
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Keywords | 極夜ジェット振動 / 対流圏成層圏結合 / 波平均流相互作用 / 環状モード / 大気大循環モデル / 子午面循環 / オゾン / 太陽活動 |
Research Abstract |
北半球の環状モード(NAM)の予測可能性と成層圏の役割を調べるために、気象研究所の気候モデルを用いた数値実験を行った。まず、極夜ジェット振動(PJO)が明瞭に観測された2003/2004年冬季について実験を行ったところ、突然昇温の10日ほど前を初期値とした場合にはNAMの予測可能性は非常に高く、予測可能性は成層圏で3ヶ月、地表でも2ヶ月にも及ぶことが分かった。このような高いNAMの予測可能性の原因としては、成層圏の変動や地表状態が考えられる。そのうち地表状態が原因による予測可能性を除去するために、地表状態を気候状態に固定した実験を行ったところ予測可能性は悪化したがそれでも地表で1ヶ月程度の予測可能性が存在した。他方成層圏変動による予測可能性を除去するために成層圏を除去したモデルで同様の実験を行ったところ地表NAMの予測可能性は著しく悪化し10日程度になってしまった。このことから少なくとも2003/2004年冬季について成層圏変動(PJO)の大きさがNAMの予測可能性を著しく高めていたことが示唆される。同様の実験を2003/2004年冬季同様にPJOが明瞭に観測された2005/2006年冬季についても行ったところ、2003/2004年冬季ほどではなかったもののやはり高いNAMの予測可能性が示された。他方、PJOが明瞭でなかった2002/2003年冬季で数値実験を行ったところ、突然昇温前でも地表面付近のNAMの予測可能性は低かった。以上からPJOの発生が予測可能になる突然昇温発生の一週間程度前であれば成層圏変動の再現性の良さのせいで地表NAMの予測可能性が著しく高まる傾向があることが示された。 以上の研究成果を日本気象学会、国際測地学地球物理学連合研究総会(IUGG)、アメリカ地球物理連合(AGU)などで発表した。
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