2005 Fiscal Year Annual Research Report
陸起源有機分子を用いた融氷期東アジア水循環の高時間解像度復元
Project/Area Number |
16340158
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 正伸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助手 (60332475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入野 智久 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助手 (70332476)
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30143366)
池原 実 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 助手 (90335919)
大場 忠道 北海道大学, 名誉教授 (60013588)
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Keywords | 古海洋 / 古気侯 / 東アジア / 降水量 / ENSO / アジアモンスーン / 海底コア / バイオマーカー |
Research Abstract |
本研究では,東アジア縁辺海域の北緯42度〜北緯8度の範囲(十勝沖,鹿島沖,隠岐海嶺,北部東シナ海,北部南シナ海,南部南シナ海)の6地点から採取された海底コアに含まれる陸起源バイオマーカー(生物起源有機分子)の分析を行い,最終融氷期東アジア地域の乾湿南北分布を明らかにし,現在のエルニーニョ南方振動(ENSO)のテレコネクション降水量分布と比較することにより,融氷期温暖化と水サイクル変化に及ぼしたENSOの役割を検討することを目的としている. 平成17年度は十勝沖コア,北部東シナ海コア,北部南シナ海コアの陸起源バイオマーカーの抽出,分離,同定,定量を行った.また南部南シナ海コアに関して少数の試料を選び,陸起源バイオマーカーの炭素・水素同位対比の測定を開始した. 十勝沖コアでは高等植物の葉表皮ワックスに由来する長鎖n-アルカンと長鎖脂肪酸の濃度が融氷期で顕著に高く,前年度のリグニン組成の結果とあわせて,融氷期には北海道南東部が乾燥化し,草本類が広く分布していたことが推察された.北部東シナ海でも長鎖n-アルカン濃度が融氷期で顕著に高い傾向がみられた.前年度の鹿島沖の結果も考慮にいれると,北緯42度から北緯32度の範囲では融氷期に乾燥化したと判断された. 他方,降水量低下が予想されていた北緯20度の北部南シナ海コアでは,融氷期に長鎖n-アルカン濃度が減少する傾向は認められなかった.N-アルカンの組成を詳細に検討したところ,融氷期の海水準上昇に伴い高等植物起源n-アルカンから堆積岩起源n-アルカンに変化したことが明らかになった.この起源の変化の度合いが大きかったため,n-アルカン濃度に降水量の影響が表れなかったと判断された. 平成18年度では,南部南シナ海と日本海コアに関して分析を進め,北緯9度から北緯42度までの南北トランセクトの乾湿変動復元を終了させる.
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Research Products
(1 results)