2004 Fiscal Year Annual Research Report
浮遊性有孔虫殻の安定同位体と微量化学成分のグローバルマッビングと古海洋への応用
Project/Area Number |
16340161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
川幡 穂高 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門・物質循環研究グループ, 研究グループ長 (20356851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 淳 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門・物質循環研究グループ, 主任研究官 (60344199)
岡井 貴司 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門・物質循環研究グループ, 主任研究官 (20356679)
西 弘嗣 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20192685)
氏家 宏 琉球大学, 理学部, 名誉教授 (60000113)
横山 祐典 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (10359648)
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Keywords | 地球環境 / 古環境 / 浮遊性有孔虫 / 安定同位体比 / G.ruber / 間接指標 / 低緯度海域 / 表層水 |
Research Abstract |
現在の地球環境問題は,自然のみの働きによる環境変動に人間活動の地球環境へのインパクトが加わったものである.そこで,現代の環境問題に対処するには,両方の変動幅と仕組みを明らかにすることが不可欠である.古海洋の研究では,現在のところ物理場を支配する水温,塩分,生物および化学場に影響を与える栄養塩,一次生産の解析が最も基本である.最近では,古環境分野でも精密なモデリングが可能となってきたので,計算機に入力可能なデジタルデータの取得が強く求められている. 過去の水温などは直接測定できないので,古海洋の解析では間接指標(Proxy)が用いられる.有孔虫炭酸塩殻の安定同位体や化学組成は,この中で最も有力な道具である.これは,炭酸塩殻が,生産された周囲の環境を定量的に記録しているとの考えに基づいている.しかし,殻の酸素同位体比は,しばしば平衡値からずれることが報告されている.そこで,炭酸塩殻に残された安定同位体比から真の環境情報を引きだすには,有孔虫の生態,生活史,石灰化の機構などを詳細に知る必要がある. 生物起源炭酸塩殻の同位体および化学組成は定量的な古環境解析に非常に貢献してきた.特に、浮遊性有孔虫はほぼ汎世界的に生息しているので、重要である.特に、低緯度域での古環境復元ではGlobigerinoudes ruberを中心に研究がなされてきたが、これまで1種と考えられてきたG.ruberには2形態のあることが提案され、本研究ではセジメントトラップで採取された試料について安定同位体比を測定した.その結果、海洋表層が成層化した時期、すなわち生産が比較的小さくなった時期には両者の酸素同位体比は0.25パーミル差が認められ、G.ruber s.s.とG.ruber s.lについて前者は極表層に、後者は50mの深度に生息することが明らかとなった.また,この結果は炭素同位体比とも整合的で、G.ruber s.lの炭素同位体比の値はG.ruber s.s.よりも低い値となった.現在、低緯度域での古環境の復元に、この2形態を区別して分析および解析を行なうと、より精密な古環境復元ができると考えられる.今後は予定どおり、他の表層から採取した有孔虫について安定同位体の分析を行ない、現世の値が意味するものをより詳細に明らかにしていく予定である.
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Coral skeletal tin and copper concentration at Pohnpei, Micronesia : Possible index for marine pollution by toxic anti-biofouling paints2004
Author(s)
Inoue, M., Suzuki, A., Nohara, M., Kan, H., Edward, A., Kawahata, H.
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Journal Title
Environmental Pollution 129
Pages: 399-407