Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 淳 (独)産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (60344199)
岡井 貴司 (独)産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (20356679)
西 弘嗣 北海道大学, 大学院理学研究科, 助教授 (20192685)
氏家 宏 琉球大学, 理学部, 名誉教授 (60000113)
横山 祐典 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (10359648)
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Research Abstract |
現在の地球温暖化は,「自然本来の温暖化」+「人為起源の二酸化炭素による温暖化」が合わさったものである.現在の温暖化レベルは産業革命以前よりは高いものの,実は数千年前に地球が自然のみの働きで経験した温暖化より低いレベルにある.しかし,その程度がどの位であったのか,高精度の定量的(デジタル)な復元は行われてきていない.その復元のために,生物起源炭酸塩が使用されてきた.特に,外洋域で主に方解石殻を作る有孔虫(foraminifera),石灰質ナンンプランクトン(calcareous nannoplankton)は,ほとんどの外用域に生息という点で,古環境の定量的解析の際には非常に重要となっている. 西赤道太平洋においてセジメントトラップ観測を実施した.このサイトは,赤道域であるにもかかわらず,主要成分およびプランクトンの種類について解析した結果,1年の中でも生物生産が著しく変化したことを示していた.トラップから得られたPulleniatina obliquiloculata, Neogloboquadrina dutertreiについて酸素・炭素同位体比を測定した結果は,表層水温および栄養塩の供給などについて,炭酸塩殻が環境を正確に記録していることが明らかとなった.また,西赤道太平洋の東経135度から西経170度までの極表層に生息している有孔虫Globigerinoides sacculiferの炭酸塩殻の酸素・炭素同位体比には,東経170度以東の湧昇域では冷たく、豊富な栄養塩を有した海水が上昇していることが酸素同位体比に記録されていた.また,西赤道太平洋、暖水塊は高温水で特徴づけられるが,酸素同位体比も低く,温度を反映していることがわかった。また,この海域は硝酸,リン酸,ケイ酸などの濃度が低い貧栄養塩で特徴づけられるが,Globigerinoides sacculiferの炭素は栄養塩の状態とともに大きく変動していた.これは,この種が共生藻を有しており,この活動状態が炭素同位体比の変化となって記録されていると解釈された.これは,過去の栄養塩の新たな間接指標となることを意味している.
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