2006 Fiscal Year Annual Research Report
同位体宇宙化学的手法による原始太陽系星雲の散逸時期の推定
Project/Area Number |
16340174
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 智樹 九州大学, 大学院理学研究院, 助教授 (20260721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関谷 実 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (60202420)
野口 高明 茨城大学, 理学部, 助教授 (40222195)
岡崎 隆司 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (40372750)
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Keywords | 原始太陽系星雲 / 炭素質コンドライド / Cr-Mn年代 |
Research Abstract |
太陽系形成初期の記録は、その時期に形成された始原隕石にしか残されていない。本研究では始原隕石中の証拠組織とその構成物質の同位体比から、惑星科学の第一級課題である原始太陽系星雲の散逸時期の推定を研究目的とする。原始太陽系星雲の散逸が太陽系形成の初期の段階に起こったことは申請者の始原隕石の研究で初めて明らかにされた。しかし、いつ散逸したか(年代)はわかっていない。本研究ではこの散逸の時期を始原隕石の証拠から絞り込む。星雲散逸後は太陽からの放射線が初めて原始惑星や微小天体に降り注ぎ、太陽風成分が天体表面に打ち込まれる。本研究では始原隕石の同位体比から、太陽風がいつから打ち込まれ始めたのか、つまり、いつ星雲が散逸し太陽系が晴れ上がったのか、その年代を推定する。 炭素質隕石の内部組織と希ガス同位体比の関係を調べるため、ヴィガラノ炭素質隕石の薄片について、レーザーによる希ガス局所分析を行った。ヴィガラノ炭素質隕石は、本研究の目的である原始太陽系星雲の散逸時期を求めるのに適した角礫岩的組織を示し、その組織中にファイヤライト脈(昨年度形成年代決定済み)が形成されている。また、レーザーによる希ガス局所分析により、太陽風の希ガス微細分布が、確実に把握できるかどうかと知る目的もある。分析の結果、ヴィガラノ炭素質隕石には太陽風希ガスが偏在していることがわかった。数百ミクロンのスケールで、太陽風がある場所とない場所が存在する。両者の組織は、微妙に異なっており、前者は後者に比べ比較的結晶粒子が詰まっている傾向がある。この違いが、何に起因するのか、現在のところ不明である。形成年代をCr-Mn法で決定したファイヤライト脈の近傍は、まだ分析していない。来年度に行う予定である。
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Research Products
(6 results)