2005 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギーダイナミクスからみた超臨界水の特異性の解明
Project/Area Number |
16350010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 佳文 京都大学, 国際融合創造センター, 助教授 (60221925)
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Keywords | 超臨界水 / 光カーゲート / 時間分解蛍光測定 / 過渡回折格子法 / エネルギー移動 / ラマン分光 / ニトロアニリン |
Research Abstract |
昨年度構築した光カーゲートシステムを超臨界水中のシステムに適用するために、時間分解能ならびにS/Nの更なる向上を今年度の前半において積極的に進めた。その結果、チタンサファイアレーザーの二倍波(388nm)で励起し、基本波(776nm)でプローブするシステムにおいて、時間分解能およそ300fsで、蛍光寿命が5ns以上の分子に対しても十分なS/Nで時間分解蛍光スペクトルを測定できるシステムを構築した。この光学システムに高温高圧セルを組み込み、予備実験として常温常圧下のメタノール中でのクマリン153の蛍光ダイナミックストークスシフトを測定することに成功した。さらに、三倍波発生システムを新たに構築し、三倍波励起でペリレン/シクロヘキサン系で蛍光スペクトルの時間変化の測定をおこなったところ、初期過程において顕著なスペクトル形状変化を見出した。今後、スペクトル形状と振動余剰エネルギーとの関連付けを行い、超臨界水や超臨界シクロヘキサン中での実験を進める予定である。 一方で、振動エネルギー緩和をエネルギーの受け手から測定するアプローチとして、超臨界流体中でのアズレン分子に対する過渡回折格子法による測定を行い、溶質溶媒のエネルギー移動における機構を検討した。 また、超臨界水中の分子の溶媒和の相補的なデータを得るため、パラニトロアニリンの超臨界水中における振動構造を共鳴ラマンスペクトルにより評価することに成功した。その結果、溶媒分子とつよくカップリングするニトロ基の振動数に、特徴的な密度変化が見られることが明らかとなった。類以の化合物であるN,N-ジメチル-p-ニトロアニリンにおいては、共鳴波長によって振動スペクトルが変化する現象を見出した。同様の測定を超臨界水と対比されるイオン液体に対してもおこない、ラマン分光法で見られる振動数の揺らぎが、特徴的な溶媒依存性を示すことを明らかにした。
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Research Products
(4 results)