2005 Fiscal Year Annual Research Report
液媒和電子・量子液体系の複合的量子ダイナミクス現象の経路積分計算による研究
Project/Area Number |
16350013
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
衣川 健一 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (50254446)
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Keywords | 経路積分 / 非対角密度行列 / 分子動力学 / 液体水素 / 運動量分布 / 動的構造因子 |
Research Abstract |
液体パラ水素の低〜高圧条件下(0〜400bar)での液体領域での温度において、Nose-Hoover-chain-Andersen型の定温・定圧アンサンブルに対して経路積分分子動力学(PIMD)に基づく非対角密度行列の数値計算を行った。水素分子間相互作用のモデルは、昨年度と同じく、経路積分シミュレーションに対して高い信頼性を証明したSilvera-Goldmanポテンシャルを用いた。シミュレーションは分子数を500、Feynmanビーズ数(Trotter分割数)は100にとった。500分子のうちの1分子のみは、Feynman経路を閉じずに開環状にしておき、その端点と端点の分布関数を各圧力で190万ステップの計算から求めた。数値計算に際しては、時間可逆性が保証されたRESPAアルゴリズムによるon-the-fly法に従ったnormal-mode PIMD法によって、Feynmanビーズの空間分布を計算した。開環状分子の端点間の分布関数が非対角密度行列の分布関数であり、その圧力依存性が明らかになった。その結果によると、圧力が200barまでは大きな圧力依存性はないが、200barを越えると、距離の小さいところでの分布頻度が高まり、逆に長距離での分布が他の圧力の場合より減少することがわかった。これは逆フーリエ変換をかけて運動量分布に写像した場合、より高運動量に対する分布の増大に対応し、ボーズ凝縮とは逆の傾向が高まることに対応している。400barまで圧力を上げると、液体が固化の方向に向かい、動的構造因子にも異常なピークが現われることが明らかになっているので、この特徴は系の熱力学的な状態の違いに相応するものと考えられた。
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Research Products
(1 results)