2004 Fiscal Year Annual Research Report
光活性蛋白質単結晶の初期反応:空間分解能を持つ時間分解蛍光およびラマン分光研究
Project/Area Number |
16350016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Institute for Laser Technology |
Principal Investigator |
コスロービアン ハイク 財団法人レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ科学研究チーム, 副主任研究員 (70291036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
又賀 昇 財団法人レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ科学研究チーム, チームリーダー (30029368)
谷口 誠治 財団法人レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ科学研究チーム, 研究員 (00342725)
今元 泰 奈良先端技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (80263200)
海野 雅司 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (50255428)
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Keywords | 光活性蛋白質PYP / 蛍光アップコンバージョン / フェムト秒ダイナミクス / ラマン分光 / コヒーレント振動 / 蛋白質単結晶 / 光異性化反応 / 顕微分光 |
Research Abstract |
倒立型顕微鏡システム(IX71-22PH)と蛍光アップコンバージョン測定システムを組み合わせた顕微アップコンバージョンシステムを新たに作成した。装置の分解能は時間分解能約140fs、空間分解能約30μmであった。試実験においてこのシステムのS/N比が本測定には不十分であることが判明し、現在光学系の再構築を行っている。また、光活性蛋白質PYPの単結晶および溶液でのマイクロラマン測定を初めて行った。両資料におけるスペクトルは類似した特徴を示したが、C=C伸縮モード(υ_<13>、1550cm^<-1>)等いくつかのラマンバンドにおいて励起光の偏光方向に対して散乱強度にコントラストが見られる等、単結晶試料に特徴的な挙動が新たに観測された。 新規のPYP発色団(TMpCA,TML,TML rot-lock)およびアナログ体(rot-lock PYP)の蛍光ダイナミクスについて検討し、アナログ体(rot-lock PYP)において、蛍光ダイナミクスに波長依存性はみられず、また蛍光減衰はこれまで最も短寿命であった野生種PYPのものよりも更に短寿命となる事が明らかとなった。 PYPアナログ体(Locked Chromohpore)における共鳴ラマン測定およびab initio MO(DFT)計算を行い、野生種のものと比較した。またPYP単結晶の偏光依存性についても同様に検証した。更に、バルス幅30fsのレーザーシステムを用いてPYPの蛍光ダイナミクスを再検討したが、これまでの時間分解能110fsでのシステムで観測された2種の振動モード(〜50cm^<-1>,〜140cm^<-1>)以外の新たな振動は観測されなかった。このことはこれらの振動モードがPYPの異性化反応を誘起する事を示す重要な結果であると考えられる。
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Research Products
(6 results)