2006 Fiscal Year Annual Research Report
光活性蛋白質単結晶の初期反応:空間分解能を持つ時間分解蛍光およびラマン分光研究
Project/Area Number |
16350016
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Research Institution | Institute for laser Technology (ILT) |
Principal Investigator |
コスロービアン ハイク (財)レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ科学研究チーム, 副主任研究員 (70291036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
又賀 昇 (財)レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ科学研究チーム, チームリーダー (30029368)
谷口 誠治 (財)レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ科学研究チーム, 研究員 (00342725)
今元 泰 奈良先端技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (80263200)
海野 雅司 佐賀大学, 理工学部機能物質化学科, 助教授 (50255428)
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Keywords | 光活性蛋白質PYP / 蛍光アップコンバージョン / フェムト秒ダイナミクス / 蛋白質単結晶 / 光異性化反応 / FMN結合蛋白質 / 光誘起電子移動反応 / 顕微分光 |
Research Abstract |
空間分解蛍光アップコンバージョン測定装置について、ダイクロイックミラーおよび光学結晶の交換等の改良を加え、時間分解能(200fs以下)及び計測感度を更に向上(励起光強度5μW)させた。この計測装置によりPYP野生種およびミュータント(R52Q)単結晶のfs蛍光ダイナミクスの観測を行い、水溶液中との挙動と比較した。その結果、蛍光ピーク波長では寿命約500fsの超高速減衰を含む多成分指数関数による蛍光減衰を示し、結晶内でも超高速異性化過程が起こる事が示されたが、得られた蛍光ダイナミクスは野生種、R52Qの各水溶液中のものとほぼ同様であり、ps〜fs領域においては水溶液中と結晶中で同様の光初期反応を示すことが分かった。同様に光誘起電子移動反応を示すFMN結合蛋白質(FMN-binding protein)結晶についてもfs蛍光ダイナミクスの観測に成功した。FBP結晶では蛍光減衰は約700fs(60%)の寿命を主成分とする2成分指数関数により減衰し、FBP水溶液での蛍光寿命(170fs)に比べ大幅な長寿命化を示した。これは結晶中での電子移動速度の低下に起因するものであると考えられるが、その要因として、結晶中と溶液中では蛋白質の構造が異なっており、発色団(イソアロキサジン)と電子ドナーとして働くトリプトファン(TrP-32)との分子間距離は水溶液中の方が0.3Å近距離にある事が挙げられる。更に本計測装置の応用として、配向異性体の存在が長年議論されているトリフェニルメタン色素(マラカイトグリーン)について、微粒子状態でのS_2蛍光ダイナミクスを直接観測した。その結果微粒状態での蛍光ダイナミクスは水溶液中では見られなかった長寿命成分(2ps、150ps)を含み、更に観測波長依存性も顕著であり、基底状態において配向異性体が存在していることを示すものであると考えられる。
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Research Products
(6 results)