2004 Fiscal Year Annual Research Report
有機リン類合成のクリーン化、高度化及び化合物の機能化
Project/Area Number |
16350027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
韓 立彪 独立行政法人産業技術総合研究所, 産業技術総合研究所・環境化学技術研究部門, 主任研究員 (30356860)
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Keywords | 有機リン化合物 / 触媒反応 / 高効率合成 / ニッケル触媒 / ヒドロホスホリル化 / ニッケルヒドリド錯体 / リン置換ブタジエン / プロパルギルアルコール |
Research Abstract |
平成16年度では、まず、ニッケル触媒を用いるヒドロホスホリル化反応(金属触媒を用いるP(0)-H結合のアルキン又はアルケン類への付加反応)機構の解明を行った。ヒドロホスホリル化反応においてニッケルがパラジウムやロジウムなどの貴金属よりも高触媒活性を示すが、その理由は明らかではなかった。そこで、Ni(PEt_3)_4とジフェニルホスフィンオキシドの反応を行ったところ、活性種と思われるニッケルヒドリドの発生を確認し、その単離・構造決定に成功した。得られたニッケルヒドリド錯体と1-オクチンとの反応を行ったところ、-78℃でも反応が進行し、対応するビニルリン類を与えた。比較実験として、対応するパラジウムとプラチナヒドリド錯体と1-オクチンの反応を行った。パラジウム錯体は低温では反応が生起せず、室温で始めて徐々に反応した。一方、プラチナ錯体は100℃まで加熱しても反応しなかった。この結果は、観測された金属の触媒活性と一致するものであり、反応がこのような触媒活性種を経由して進行するものと推定される。 次に、安価なプロパルギルアルコール類とジフェニルホスフィンオキシドを用いるリン(P(0))置換共役ブタジエン類の新規合成法を検討した。室温下、等モル量の2-メチル-3-ブチン-2-オールとPh_2P(0)Hの混合物をPh_2P(0)OHの共存下THF中で反応を行ったところ、一気に脱水生成物のリン(P(0))置換共役ブタジエンを高収率で与えた。同反応には、Ph_2P(0)OHの添加が必須である。また、プロパルギルアルコールとして三級のものは効率よく進行したのに対して、一級や二級のものからは対応する置換共役ブタジエン類が得られなかった。反応機構を詳細に検討したところ、先ずニッケルとPh_2P(0)OHの作用により、プロパルギルアルコールがエンイン類に変換され、これがPh_2P(0)Hと反応して最終生成物のリン(P(0))置換共役ブタジエン類を与えたことを明らかにした。
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