2006 Fiscal Year Annual Research Report
活性S-S結合による結晶相光応答錯体分子の構築と光機能の解明
Project/Area Number |
16350029
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
磯辺 清 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (70101285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 宜仁 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (10231531)
西岡 孝訓 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 講師 (10275240)
中井 英隆 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (70377399)
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Keywords | 結晶相異性化反応 / ホトクロミズム / 光応答機能 / ジチオナイト錯体 / ロジウム錯体 / 反応空間 |
Research Abstract |
結晶状態で光応答機能を持つ金属硫黄錯体の探索とその機能解明を目的とする本研究において今年度は以下に示す研究結果を得た。 結晶相光反応によりジチオナイト錯体[(Cp^*Rh)_2(μ-CH_2)_2(μ-O_2SSO_2)](1,Cp^*=η^5-C_5Me_5)は[(Cp^*Rh)_2(μ-CH_2)_2(μ-OSOSO_2)](2)へ100%異性化する((λ_<max>=510nm、結晶の大きさ、例えば:0.08x0.06x0.02mm程度)。この異性化において1中の4つの酸素うち、最もCp^*の回転運動を阻害していると考えられる特定の1つの酸素のみが最終的に移動することが分かった。そして特定の1つの酸素は,6つのCp^*配位子で構成される空間との間で,最も混み合った位置にある酸素である。反応の初期段階では、2の4つの異性体(不斉なS原子によって生じる光学異性体と同一の化学種でも反応空間での配列が異なる"配列異性"の4つ)が生じ、最終的にμ-OSOSO_2基が反応空間に最も収まりの良い安定な化学種に落ち着く過程を明らかにした。具体的には低温での光反応を逐次、単結品X線回折法で追跡し、それぞれの立体異性体生成比に対する光照射時間依存性を調べた。反応の初期ではキネティックコントロールでの選択性が働き、最終的にはサーモダイナミックコントロールの選択性が働くことを明らかにした。しかもこれらのコントロールは、いずれも反応空間におけるμ-O_2SSO_2およびμ-OSOSO_2基の立体的なかさ高さに起因することを明らかにした。
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