2007 Fiscal Year Annual Research Report
活性S-S結合による結晶相光応答錯体分子の構築と光機能の解明
Project/Area Number |
16350029
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
磯辺 清 Kanazawa University, 自然科学研究科, 教授 (70101285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 宜仁 金沢大学, 自然科学研究科, 准教授 (10231531)
中井 英隆 金沢大学, 自然科学研究科, 助教 (70377399)
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Keywords | 光応答錯体 / 結晶相フォトクコミック反応 / 温度可変固体^2H NMR測定 / ジチオナイト錯体 / 有機金属錯体 / 絶対不斉光異性化反応 |
Research Abstract |
外部の光刺激に対して可逆的に応答できる結晶を見いだすことは、次世代記録媒体開発の出発点となる。応答としては構造変化の少ない可逆な「異性化反応」(単結晶フォトクロミズム)を利用するのが最も有利であると考えられている。最近、我々の研究グルーブでは、分子内に2つのCp*配位子(η^5-C_5Me_5)と光応答機能の担い手となるジチオナイト配位子(μ-O_2SSO_2)を有するロジウム二核錯体[(Cp*Rh)_2(μ-CH_2)_2(μ-O_2SSO_2)](1)が、結晶相で光応答を示すことを見出した(μ-O_2SSO_2⇔μ-O_2SOSO)。 平成19年度には、錯体1の結晶中のCp*配位子の運動を詳しく調べるために、Cp*配位子の水素原子を全て重水素化したCp*^<d15>配位子(η^5-C_5(CD_3)_5)を有する錯体[(Cp*^<d15>Rh)_2(μ-CH_2)_2(μ-O_2SSO_2)](1-d_30)を合成した。錯体1-d_30の温度可変固体^2H NMR測定とスペクトルの波形解析によって、反応空間を形成する配位子の運動に関する詳細な検討を行った。その結果、(1)Cp*配位子の運動モードは、「配位子のC_5軸に沿った回転運動」であること、(2)結晶中で非等価な環境にある1分子中の2つのCp*配位子の回転運動の活性化エネルギーは、33±3と7.8±1kJ/molであることが分かった。さらにCp*環の化学修飾に成功し、種々の新規ジチオナイト錯体の合成に成功している。これら新規ジチオナイト錯体の単結晶フォトクロミズムについて系統的に検討し、温度可変固体^2H-NMRの測定によって、結晶中での光応答空間の動的挙動を詳細に明らかにすることができた。興味あることに、n-プロピル置換基を導入した錯体を用いると、不斉結晶化を利用した絶対不斉光異性化反応が進行することを見出した。本年度得られた成果は、日本化学会第88春季年会を含めた学会、討論会で発表した(国際会議3件、国内8件)。また、2報の学術論文発表と1件の特許出願を行った。
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