2004 Fiscal Year Annual Research Report
先端医療用糖鎖連結ハイブリッド金属錯体の開発とバイオメカニズムの解明
Project/Area Number |
16350032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
矢野 重信 奈良女子大学, 人間文化研究科, 教授 (60011186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小幡 誠 奈良女子大学, 人間文化研究科, 助手 (70343267)
森本 恵子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (30220081)
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Keywords | 医療 / 光増感剤 / ポルフィリン / 核画像診断 / 糖尿病 / がん / インスリン / 糖 |
Research Abstract |
1.抗腫瘍性白金(II)錯体シスプラチン(cis-diamminedichloroplatinum(II), cis-DDP)は現在最も広く用いられている抗ガン剤のひとつであるが、その作用機序にはまだ不明な点が多く残されている。シスプラチンがそのようにしてガン細胞を攻撃するのかを追及することは、新しい薬剤の開発にとって重要な手がかりとなる。これまで、シスプラチンが二重鎖DNAの連続したグアニン部位と共有結合を形成結合を形成することが知られている。さらにこのようなDNAの構造は通常のDNAと比較すると折れ曲がった構造をしていることがX線結晶構造解析その他の手法により見出され、この曲がったDNAが、細胞内の特定のタンパク質によって認識され、特異的はDNA-タンパク質複合体を形成することが最近わかってきた。 2.本研究では、水溶性とともに特定の細胞および特定のタンパク質に対する認識力を持たせることを期待し、シスプラチンに糖分子を導入した化合物の合成を行った。具体的には水溶液中でも安定なO-グリコシドを有する1,3-プロパンジアミン配位子の簡便な合成法とそれを用いた白金(II)、パラジウム(II)錯体を合成し、それらのマウス移植P388細胞に対する抗腫瘍活性を調べた。 3.糖および中心金属の種類によって活性および毒性が大きく影響を受けることが示された。今後抗腫瘍活性発現の詳細なメカニズムを解明する必要が残されているが、ここで得られた結果は、この種の化合物の分子設計・機能化に対して、有機化学・医学及び薬学系の研究者に重要な示唆を与えるものと思われる
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Research Products
(7 results)