2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16350033
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
北川 宏 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90234244)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 美穂 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (10372749)
|
Keywords | 固体イオニクス / プロトン伝導 / 配位高分子 / 金属錯体 / 固体電解質 / プロトン共役レドックス / プロトニクス / 配位空間 |
Research Abstract |
ルベアン酸銅及びその誘導体の配位高分子では、配位子が酸-塩基性を示すことから高いプロトン伝導性を示す。プロトン伝導の機構を調べるために、プロトン伝導率の温度依存性、細孔径分布、水分子吸着等温線、赤外吸収分光、固体核磁気共鳴分光などの測定を行った。R=-C_3H_7を除く3種類の配位高分子は、著しい相対湿度依存性を示し、プロトン伝導率は4〜5桁上昇し、ルベアン酸銅においては、RH=100%下で、極めて高いプロトン伝導率σ_p=10^<-2>Scm^<-1>を示す。8Åの細孔が存在することがわかり、この細孔内に多量の水分子がクラスターとして存在することが明らかとなった。置換基の変えることにより、疎水性場と親水性場を、ナノ細孔壁に付与できる。疎水性場においては、水分子クラスターは強く凝集するために、分子間水素結合は強まる。逆に親水性場においては、凝集状態は弱くなり、水素結合も弱まることが赤外吸収スペクトルからわかった。ナノ細孔中のプロトンの輸送は、この水素結合ネットワークを介して行われるので、水素結合の強弱はプロトン伝導率の活性化エネルギーに反映される事が期待される。本配位高分子中で発現されるプロトン伝導性は、グロータス機構(水素結合ネットワークを媒介とする機構)によることが、固体NMR測定の結果から推察され、燃料電池の固体電解質であるナフィオンにおけるプロトン伝導の機構に類似していることがわかった。他方、R=-C_3H_7の配位高分子は水分子を全く含有しないことがわかったが、氷と同程度のプロトン伝導性を示すことから、配位高分子の骨格構造自体にもプロトン伝導性があることが推測された。本研究により、類い希な超プロトン伝導体を開発することが出来た。
|
Research Products
(6 results)