2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16350036
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山内 脩 関西大学, 工学部, 教授 (70029643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中林 安雄 関西大学, 工学部, 助教授 (70172385)
小谷 明 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教授 (60143913)
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Keywords | 非共有性相互作用 / 平面型金属錯体 / アミノ酸側鎖基 / 芳香環スタッキング / インドール環 / フェノキシルラジカル / 銅(II)錯体の安定度定数 / 水素結合 |
Research Abstract |
弱い相互作用は分子認識、タンパク質の3次構造保持、生体反応系の構築などに不可欠である。このことは、弱い相互作用が構造の誘導と機能発現の要因であることを示している。そこで、化学系を用いて弱い相互作用の様式と効果を明らかにすることを意図し、本研究を行った。 平面型銅(II)錯体について、分子内芳香環スタッキングに及ぼす中心金属イオンの電子効果とスタックした芳香環相互の電子密度差の影響を、芳香環に様々な置換基を導入した三元銅(II)錯体の安定度定数から明らかにした。また、必須アミノ酸トリプトファンが有する芳香環であるインドール環を含むパラジウム(II)錯体について、インドール環の配位能を明らかにすると共に、インドール環同士のスタッキングが構造誘導因子となり、その有無によりsyn型とanti型錯体が生成することを見出した。 菌類からの銅タンパク質ラッカーゼなどの平面的なType I鋼部位において、銅イオンに軸方向から接近するロイシンのアルキル基の存在が知られている。このことに注目して、平面構造を有する銅(II)、パラジウム(II)、白金(II)での側鎖アルキル基の挙動を結晶構造、NMRスペクトルから調べ、いずれの金属イオンについても、分岐したアルキル側鎖基が存在する場合には、そのメチル基が金属イオンに接近することを見出した。さらに、銅錯体ではこの接近により酸化還元電位が高電位側にシフトすることを明らかにし、Type I銅部位に見られるロイシンアルキル基接近の効果を論じた。この接近は金属イオン-アルキル基間での弱い水素結合と考えられる。 芳香族アミノ酸チロシンの金属イオンに配位したフェノール基からのフェノキシルラジカル生成に関しても詳細な研究を行った。 以上のように、本研究により錯体における様々な弱い相互作用の存在と構造・反応性への効果を明らかにすることが出来た。
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Research Products
(5 results)