2004 Fiscal Year Annual Research Report
オンライン前濃縮によるマイクロチップ電気泳動法の高感度化と新型チップの開発
Project/Area Number |
16350045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
廣川 健 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30116652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
育田 夏樹 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00274118)
伊藤 一明 近畿大学, 工学部, 助教授 (80151497)
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Keywords | マイクロチップ電気泳動法 / オンライン前濃縮 / 過渡的等速電気泳動法 / 高感度分析 |
Research Abstract |
マイクロチップ電気泳動は、電気泳動装置のダウンサイジング・迅速な自動分析・パラレル処理などの特徴から、特にDNA断片やタンパク質など生体関連試料の分析において近年注目を集めている。しかしながらキャピラリー電気泳動と異なり、マイクロチップの分離チャンネルは数10mmと短いため、分離能は低い。また試料仕込み体積が3μL程度と少ないため、濃度感度が低いという問題がある。これは従来用いられてきた電気的試料導入法(Pinched injection)では、仕込み試料のごく一部しか分離チャンネルに導入されないためである。例えば市販装置(UV検出)を使用した場合、DNA断片分析における濃度感度は数100μg/mLである。これを改善するため、Electrokinetic superchargingと名付けた、電気的注入と過渡的等速電気を組み合わせたオンライン前濃縮を用いる新規なメソッドを開発した。その結果、市販されている電気泳動用マイクロチップおよび装置を用いた場合でも、DNA断片やタンパク質について濃度感度を20倍以上向上させ得ることを実証した。また、この方法に最適な濃縮チャンネルを持つマイクロチップを設計するため、コンピューターシミュレーションを応用し(ソフトウエア、CFD-ACE+)、新しく濃縮チャンネルを持つマイクロチップを試作した。このマイクロチップおよび分析メソッドは欧米の既存特許に抵触しない新規なものである。現在、このチップを用いた新しいメソッドの開発・評価を行なうと共に、特許申請を準備している。
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