Research Abstract |
研究代表者らは既に,ドデカン/硫酸水溶液界面で,5,10,15,20-テトラフェニルポルフィン(tpp)の中心の2つの窒素原子がプロトン化してH_2tpp^<2+>になり,それが集積化してひし形状のマイクロドメインが生成することを明らかにしている。そのマイクロドメインは,10-200μmの大きさ,単分子層レベルの厚みである。また,光吸収異方性の測定結果から規則構造を有していることも判っている。 本年度は,このマイクロドメインの泳動を検討するために,研究代表者が開発した薄層二相マイクロセルを用いて,ドデカン/硫酸水溶液界面でH_2tpp^<2+>会合体のマイクロドメインを生成させ,微小な先端を有する2本の電極をドデカンに浸漬した。この2本の電極は,マイクロマニピュレーターにセットして,電極間距離を100-300μm,電極と界面の距離を97-166μmになるように配置した。この2本の電極に,-100Vから100Vの直流電圧を印加した結果,H_2tpp^<2+>会合体のマイクロドメインは,負の電圧を印加した電極の真下に向かって泳動することが観測された。また,正の電圧を印加した電極からは離れる泳動を示した。これらのことは,このマイクロドメインが正の電荷を有しており,主にクーロン力によって泳動していることを意味している。他の微粒子についても検討した結果,この手法が,液液界面に存在する物質の選択的な泳動法になり得ることが示唆された。
|