2005 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒反応によるアルコールの直接的な両極活性化:C^+,C^-イオンの生成
Project/Area Number |
16350058
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田丸 良直 長崎大学, 工学部, 教授 (80026319)
|
Keywords | アルコール / 活性化 / 極性転換 / パラジウム / トリエチルホウ素 / アリル化 / 糖 / 修飾 |
Research Abstract |
従来、ジヒドロピラン、ジヒドロフランやアリルアルコールは水酸基の保護基として使用されてきた。即ち、目的反応を達成した後は余分なものとして切り捨てられる運命にある。しかし、また、それ故にそれなりの重要な役割も果たしてきた。本研究課題ではこれらの有機化合物を有用な炭素源として利用することを目的として、ジヒドロピラン、ジヒドロフランやアリルアルコールの利用を可能とする新反応の開発に成功した。 例えば、ジヒドロピランへのアリルアルコールの付加により容易に得られる2-allyloxytetrahydropyraneをPd/Et_3BないしはPd/Et_2Zn触媒系に付すと極性転換反応が市進み、アリルアニオンを経由して1,5-dihydroxy-7-octenolが高収率で得られた。この反応では原料分子の原子組成の総和と生成物の原子組成は全く同じC_8H_<14>O_2である。即ち、この反応は極めて原子効率の良い反応である(highly atom economic)と同時に、炭素源の有効利用という観点からも、有用な反応である。実は、この反応の原型はAngew.Chem.2003に報告済みである。本年度は、5単糖、6単糖などの水酸基を多く有する化合物に対しても、それらの水酸基を保護することなく、反応が旨く進むことも確認した。またその際生じる立体選択性の問題も解決した。今後、生成物の生理活性を検討するとともに、生成物を不斉合成中間体として天然物の全合成への利用を検討する。糖類は一般に水には溶けやすいが、有機溶媒には難溶である。本反応では、水中でアリルアニオンを生成することが可能であるため、極めて好都合であると予想される。
|
Research Products
(7 results)