2006 Fiscal Year Annual Research Report
メタラクムレン類の特性を活かした炭素骨格形成法の開発
Project/Area Number |
16350059
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柴田 高範 早稲田大学, 理工学術院, 助教授 (80265735)
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Keywords | 選択的合成・反応 / 有機金属触媒 / ファインケミカルズ / 不斉合成 |
Research Abstract |
遷移金属錯体を用いる触媒的[2+2+2]付加環化反応は、炭素六員環骨格を構築する上、原子効率が高い反応である。実際に、アルキン、アルケン部分を反応ユニットとする環化反応が数多く報告され、多彩な環状化合物が得られている。その中で報告者は、エナンチオ選択的[2+2+2]付加環化反応を総括的に検討しおり、本研究では、二つのアルケン部分と一つのアルキン部分を有するジエンインの不斉分子内反応について検討を行った。 分子内[2+2+2]付加環化反応としては、アルキンやアルケンが架橋部により直鎖上に連なった基質による反応が知られ、特にトリインより置換ベンゼン化合物を与える付加環化反応は、種々の遷移金属錯体により触媒的に進行することが知られている。一方筆者は、1,1-二置換アルケンにより架橋された分岐型の基質に注目した。すなわち、非共役系である1,4ジエン部分とアルキン部分を有する1,4-ジエンインを用い、キラルロジウム錯体を触媒として検討を行った。その結果、1,4-ジエン部分の2位にメチル基やフェニル基などの置換基を有する基質では、予期した分子内[2+2+2]付加環化反応が進行し、二つの不斉四級炭素を橋頭位に有する歪みのある三環性化合物が、高不斉収率で得られた。一方、1,4-ジエン部分に置換基を持たない基質では、予想外にもメチル基を有する不斉四級炭素を有する縮環部にもつ二環性化合物が得られた。本生成物は、反応途中で生成する含金属中間体において、その環歪みを解消するために炭素・炭素結合の開裂が起こったと考えれる。 今後、1,4'ジエン部分に替え、1,5-、1,6-ジエン部分をもつジエンインを検討するともに、この炭素-炭素結合の開裂を伴う環化反応の反応機構の解明を目指す予定である。
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