2004 Fiscal Year Annual Research Report
立体特異性リビングラジカル重合と新規ステレオ共重合体の合成
Project/Area Number |
16350062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上垣外 正己 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00273475)
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Keywords | リビンク重合 / ラジカル重合 / 立体特異性重合 / 遷移金属錯体 / ルイス酸 / アクリルアミド / メタクリル酸エステル / ブロックポリマー |
Research Abstract |
本研究では、ラジカル重合において、分子量と立体構造の同時制御を可能とする立体特異性リビングラジカル重合を開発することを目的としている。とくに、遷移金属錯体を用いたリビングラジカル重合系において、立体特異性ラジカル重合を可能とするルイス酸やフルオロアルコールなどの極性溶媒を用いることで、その実現をめざす。 1.遷移金属錯体と希土類ルイス酸を用いたアクリルアミド類の重合 鉄錯体[(FeCp(CO)_2)_2]を用いたN,N-ジメチルアクリルアミドのリビングラジカル重合系に、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム[Y(OTf)_3]などの希土類ルイス酸を添加しても、重合が進行し、リビング重合が可能であった。生成ポリマーの立体規則性ついては、メゾ(m)含率がm=82%であり、ルイス酸を添加しない場合のm=52%に比べて高く、立体特異性ラジカル重合が進行した。金属触媒およびルイス酸の添加量は、モノマーに対して1mol%と5mol%と低くても、この立体特異性リビングラジカル重合は可能であり、両成分は触媒的に働いていることがわかった。また、鉄錯体によるリビングラジカル重合を行い、途中からルイス酸を添加することにより、アタクチックとアイソタクチックセグメントからなる、ステレオブロック共重合体の合成が可能であることが明らかとなった。 2.遷移金属錯体と種々の溶媒を用いたメタクリル酸エステルの重合 2-ヒドロキシエチルメタクリル酸エステル(HEAM)のラジカル重合を、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いて、種々の溶媒やさらにルイス酸を添加して行ったところ、ジメチルホルムアミド(DMF)中ではシンジオタクチック含率が高く、一方、フルオロアルコール中ではアイソタクチック含率が高いポリマーが生成し、溶媒によりポリマーの立体規則性を大きく変化させることが可能であった(rr=43-79%)。さらに、これらの溶媒中でルテニウム錯体[RuCp^*Cl(PPh_3)_2]を用いて重合を行うと、ポリマーの分子量と立体構造が同時に制御された立体特異性リビングラジカル重合が進行した。
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Research Products
(6 results)