2005 Fiscal Year Annual Research Report
含窒素複素環を有する新規水素結合型電子ドナー分子の合成と集積化
Project/Area Number |
16350074
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 靖 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (70230133)
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Keywords | 水素結合 / 電荷移動 / 電導度 / ベンゾキノン / テトラチアフルバレン / 金属 |
Research Abstract |
4,4′-ビイミダゾールは、プロトン化状態に依存した多様な水素結合様式を示すことが期待されることから、4,4′-ビイミダゾールのモノプロトン化体及びジプロトン化体から成るTCNQとの電荷移動(CT)塩を合成した。結晶構造解析の結果、TCNQはともにカラム構造を有する部分CT状態であったが、室温電導度がそれぞれ1.5×10^<-4>Scm^<-1>、1.1×10^<-1>Scm^<-1>という大きな相違を示すことがわかった。水素結合様式の違いがTCNQカラム内での積層様式に構造的および電子的に影響することで物性に顕著な変化が現れていることを明らかにした。また、テトラチアフルバレン(TTF)とイミダゾールを結合させたTTF-イミダゾールを合成し、各種ベンゾキノン型の電子アクセプター分子とのCT錯体を種々合成した。その結果、いずれの錯体においても組成比が2:1あり、高電導性を示すことがわかつた。クロラニル錯体の結晶構造解析の結果、結晶中ではクロラニル上の二つのカルボニル基とイミダゾール環上のアミノ基が水素結合することでD-A-D型の三量体を形成しており、この三量体を基本単位として集積することで2:1の組成を有する錯体を構築していた。さらに、TTF-イミダゾール分子は、πスタッキングと硫黄-硫黄間の相互作用により二次元的な伝導層を形成していた。この錯体の室温電導度は124Scm^<-1>であり、約180Kまで金属的な挙動を示した。これは、強固な水素結合ネットワークを有するTTF誘導体と有機電子アクセプターから成る純有機物CT錯体が金属的伝導性を示した初めての例である。また、CT錯体における水素結合による電子的摂動効果を初めて提唱し、実験的に明らかにした。
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Research Products
(19 results)