2005 Fiscal Year Annual Research Report
無機系酸化剤を用いる水中での高効率酸化反応システムの創製
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16350083
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
益山 新樹 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30157218)
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Keywords | グリーンケミストリー / 低リスク酸化反応 / 過ホウ酸ナトリウム / 水中反応 / 界面活性剤 / ミセル / ミセル反応 / 両親媒性樹脂 |
Research Abstract |
1.ミセル水溶液中での過ホウ酸ナトリウムによる酸化反応 安価で取扱上の安全性も高い過ホウ酸ナトリウム(SPB)を酸化剤として用い、水中で効率良く進行する酸化反応方法論の開発に取組んだ。その場合に問題となる水難溶性基質に対する方策として、水中で微視的な疎水場を提供する界面活性剤ミセル系を適用することにした。水中でのジフェニルスルフィド類の酸化反応をモデル系として、汎用界面活性剤の中からドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム(DTAB)、ヘプタエチレングリコールモノドデシルエーテル(C_<12>E_7)の3種類を選び、様々な角度から検証を行った。 その結果、(1)SPBを溶解させた水中(pH10のアルカリ性)、では、DTABミセル系が、一方、(2)過塩素酸酸性(pHl)条件下では、SDSミセル系が、それぞれ顕著な反応加速効果を示した。ミセルへの基質の結合定数と擬一次反応速度定数を求めたところ、両者の間に相関関係が認められたことから、ミセルへの基質の可溶化が反応加速の推進力であると考えている。また、SPB水溶液の酸化活性種はpHによって異ることが知られており、アルカリ性条件下ではHOO^-などのアニオン種、酸性条件下では(HO)_2BOOH_2^+というカチオン種であると指摘されていることから、ミセル表面電荷と活性種の間の静電的相互作用も反応促進効果の一因であると思われる。 さらに、反応混合物の後処理法について検討したところ、DTABミセル系ではカチオン交換樹脂を、SDSミセル系ではアニオン交換樹脂を、それぞれ用いることで界面活性剤を簡単に除去することが可能となり、抽出とろ過操作だけで酸化反応生成物を純度良く単離できる方法を見出した。 2.Oxone酸化反応を加速する両親媒性不溶性樹脂の創製 Oxone水溶液中での酸化反応加速剤として、反応終了後の回収・再利用の容易さの観点から不溶性樹脂に着目し、Oxone酸化を触媒するカルボニル基を組込んだ両親媒性樹脂を設計した。具体的には、末端にカルボニル基を有するポリエチレングリコールをグラフト側鎖に有するスチレンと無置換スチレンのDVB架橋共重合体を乳化重合法により調製し、数百μ程度の粒径を持つビーズ状樹脂を得ることに成功した。
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Research Products
(1 results)