Research Abstract |
分子の運動状態の空間的変調に基づく新しい動的体積ホログラム形成についての研究を行った.動的体積ホログラムは,光パラレル論理回路や光信号増幅,光パターン認識,位相共役などを可能とする.少量の光導電性物質を混合した強誘電性液晶に交流電界を印加した状態で,液晶中でレーザー光を干渉させ,内部空間電界を発生させると,液晶分子の回転運動状態に摂動が加わり,干渉縞に沿って空間周期的に回転運動状態が変動する.本研究では,この,分子の運動が周期的に異なっている状態が,光に対して回折格子として働き,ホログラムを形成することができることを明らかにした.このモーションモードホログラムは,従来知られている光化学反応や分子の配向変化などに基づくホログラムとは原理的に異なり,高速な応答特性を有し,また時間的に安定度の高い体積ホログラムを可逆的に形成する.平成16年度の研究では,この「モーションモードフォトリフラクティブ効果」について詳しい研究を行い,そのホログラム形成特性に関する原理的探究や材料特性等について包括的な検討を行った.モーションモードフォトリフラクティブ効果は媒体中に静的に描かれるホログラムではなく,分子運動の空間的に周期的な変動によって形成されるホログラムである.このような分子運動状態の制御に基づくホログラムに関しては,過去に研究例が存在しない.特にそれを利用したモーションモードフォトリフラクティブ効果については完全に新しい研究分野であると言える.現時点においても,その優れたホログラム安定性や応答の速さは注目するべきもので,モーションモードフォトリフラクティブ効果によって動的体積ホログラムが実用化につながる可能性は高いと考えられる。
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