2006 Fiscal Year Annual Research Report
ニオブ酸塩ナノシートの分散系が作るソフトな場を利用する光機能性ハイブリッドの創製
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16350107
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
中戸 晃之 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 助教授 (10237315)
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Keywords | ニオブ酸塩 / 粘土 / ナノシート / 分散系 / 光誘起電子移動 / ミクロ相分離 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、層状ニオブ酸塩一粘土混合分散系で生じる光誘起電子移動を調査した。六二オブ酸塩の剥離ナノシートとスメクタイト粘土の剥離ナノシートとを水に分散させた多成分コロイドに、電子受容体であるメチルビオロゲン(MV^<2+>)を加えると、ニオブ酸塩ナノシートからMV^<2+>への光誘起電子移動が起こる。昨年度、電子移動によって生じる電荷分離状態がきわめて安定であることが分かり、本年度はその機構と制御因子を検討した。 まず、MV^<2+>を加えない混合分散系の光応答を調べたところ、光照射によってニオブ酸塩ナノシートが還元されることが分かった。これより、系への光照射によってニオブ酸ナノシートが励起され、シート内に電子を生成し、これがMV2^<2+>へと移行する反応経路を推測した。励起電子が安定化されるのは、剥離爾としてニオブ酸塩ナノシート近傍に存在する有機アンモニウムイオンが、犠牲剤となって正孔を消費するからだと考えられた。次に、MV2^<2+>を加えた系における光誘起電荷分離状態の寿命と、MV2^<2+>を加えない系におけるニオブ酸塩ナノシートの光還元状態の寿命とを比較したところ、両者とも同様の粘土濃度依存性を示した。寿命は、粘土濃度が低く系の粘性率が低いを領域では短く、粘土濃度を上げるにつれ長くなった。この結果より、ニオブ酸塩-粘土混合分散系の光誘起電荷分離は、粘性率が高くナノシートの拡散が遅くなると、安定化されると考えられた。逆反応が遅くなるためと推定される。しかし、粘土濃度をより高くすると系はゲル化し、そのような条件では光応答そのものが観測されなくなった。これは、ゲル化によって系がガラス状態となり、ナノシートの拡散が起こらなくなるためと推定された。 これらの検討より、層状ニオブ酸塩-粘土混合分散系の光誘起電荷分離の安定性は、系のパラメータ一によって大きく変化することが分かった。
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Research Products
(2 results)