2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16350128
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 茂男 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (30225867)
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Keywords | 高分子・低分子複合体 / 弾性緩和 / SAXS / コロイダルシリカの陽イオン化 / 高速混合 |
Research Abstract |
本研究は、強く相互作用している高分子・低分子が作る複合体の力学的性質とその構造の相関と複合体形成のメカニズムを明らかすることを目的としている。高分子ゲルの弾性緩和から体積弾性率、煎断弾性率、ゲル鎖溶媒間摩擦係数が求められることを理論、実験両面から明らかにした(JCP,120,5789-5794(2004))。時系列小角X線散乱(SAXS)スペクトルにより高分子電解質・界面活性剤複合体の動的構造と力学的性質との相関を明らかにし、静電相互作用の強さによって誘起される秩序・無秩序転移によって、それらが大きく転移的に変化することを見出した(Macromolecules 37,3809-3814(2004))。ポリアルキルアクリルアミド・アルキルフェノール複合体の形成条件、ナノ構造を明らかにし(JPC-B,109,1055-1062(2005))、また、時間のベキ則によって減衰する動的弾性挙動を明らかにした(JPC-B,108,10834-10844(2004))。以下に本科研費を用いて行なった研究内容の主な項目を箇条書きする。 1)自作弾性測定装置(シリコン歪み抵抗素子、自作のアンプ電気回路、自作の微動ステージとコンピューターを組み合わせて製作)を改良し、100μg重の力を1Vオーダーの電圧に変換できるようにし、現在、外部振動の影響を除くべく改良中である。 2)高分子・低分子複合体形成カイネティックスを調べるための高速混合装置を試作し、Spring8でSAXS測定を行なったところ、DNA・界面活性剤混合後の複合体形成過程は塩濃度に大きく依存することがわかった。 3)ポリアクリル酸高分子電解質・界面活性剤複合体中での塩濃度は、外部塩濃度に依らず一定であるが、しかし、DNA・界面活性剤間の結合力は、外部塩濃度に依存性していることがAFM測定などからわかった。 4)コロイダルシリカの表面に陽イオン性界面活性剤を2層吸着させることにより、陽イオン性ナノ粒子の創製に成功し、その形成機構を解明した。 これらの成果を基礎に次年度は、更に、高分子・低分子が作る複合体形成と安定性における静電相互作用の役割の解明したい。
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