2006 Fiscal Year Annual Research Report
超均一歪場の実現に向けたIV族系半導体ヘテロ歪結晶格子の変形制御
Project/Area Number |
16360005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
酒井 朗 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20314031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
財満 鎭明 名古屋大学, 大学院工学研究科, 教授 (70158947)
中塚 理 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助手 (20334998)
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Keywords | 結晶工学 / 結晶成長 / 格子欠陥 / 半導体物性 / 電子顕微鏡 / シリコン / ゲルマニウム / 歪構造 |
Research Abstract |
本研究は、超高速電子デバイス等への適用に資する、超均一歪場を有するIV族系半導体ヘテロエピタキシャル薄膜の作製に向けて、歪系ヘテロ界面における格子不整合転移種の特定と導入機構の走査に基づいた薄膜結晶の変形制御プロセスを開発することを目的としている。前年度までにSi(001)基板表面へのGeハットクラスタの形成によって、その後、成長するGe層との界面における60°転位の導入を抑制し、モザイシティを低減できることが明らかになった。本年度はハットクラスタの形成条件がモザイシティの大きさに与える影響について検証を行った。 Si(001)基板上に、分子線成長法により0.5nmの極薄Ge層を成長した。この時、基板温度を200℃から500℃の範囲で変化させ、異なる条件下でのハットクラスタ形成を行った。その後、さらに35nmのアモルファスGe層を成長し、700℃、10分間の熱処理によって歪緩和したエピタキシャルGe層を形成した。 透過電子顕微鏡による観察の結果、Ge/Si界面に周期的に分布する刃状転位に加えて界面に不規則に導入される60°転位の総計長さは、400℃でハットクラスタを形成した場合が最も短くなった。また、X線回折によるωロッキングカーブの評価を行った結果、同400℃の試料において、最も半値幅の小さい、すなわちモザイシティの抑制された歪緩和Ge層を形成できることがわかった。200℃程度の低温の場合、十分な密度のハットクラスタが形成されず、一方で400℃を越える高温の場合はハットクラスタ同士の融合が生じて、いずれの場合も十分な刃状転位の導入が促進されないために60°転位の導入を抑制する効果が弱くなると考えられる。今回の結果により、Si基板上のGe初期成長層の適切な制御によって、Ge/Si界面に導入される転位構造を効果的に制御し、歪緩和Ge層の高品質化が可能なことが明らかになった。
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Research Products
(3 results)