Research Abstract |
LSI,量子ドット,量子細線,マイクロマシン等のナノ構造形成の際に,極微細な溝・穴の埋め込みが重要な作製プロセスとなっている.CVDを始め通常の堆積法では,溝内の全ての面で堆積が生じるため,(1)欠陥や不純物が溝内に多くなる,(2)結晶サイズが溝幅の半分以下になる等の問題がある.これに対して,申請者は,従来法の問題点を克服できる,側壁には堆積が生じず穴底から優先的に堆積が進む「プラズマ異方性CVD」が実現できることを発見した.本研究では,主としてLSI内銅配線形成に必要な銅を主な対象として,「プラズマ異方性CVD」を発展させるために調査・検討を行った.今年度は,Ar+H_2希釈異方性プラズマCVDを用いてプラズマ異方性CVDの成膜機構を検討して膜物性を評価すると共に,プラズマ異方性CVDの汎用性を確認するため,Ruでプラズマ異方性CVDを試みた.以下に得られた成果を示す. 1.膜の初期成長機構を調べるため,超高真空AFMを用いてTiN,TaN,SiO_2表面上に形成した島密度の製膜時間依存性を求めた.熱CVDでは島密度は下地の材質に依存するが,プラズマCVDでは下地の材質によらず,熱CVDよりも高密度である. 2.製膜に用いた銅錯体材料Cu(EDMDD)_2の解離反応を調べるため,質量分析器を用いて解離生成物とイオン化断面積を調べた.その結果,Cu(EDMDD)が主要な製膜寄与種であり,Cu(EDMDD)^+のイオン化の閾値は10.3eVであり,断面積は26eVで最大になる. 3.EDX及び今年度購入した膜物性評価ソフトを用いて膜質の基板温度依存性を調べた.その結果基板温度100℃以上で,不純物濃度の低い異方性製膜が実現することを明らかにした. 4.Ru(acac)_3,Cu(hfac)_2,Cu(EDMDD)_2の3種類の錯体材料を用いて異方性製膜を試みたところ,全ての材料で異方性製膜に成功した.
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