2006 Fiscal Year Annual Research Report
近接場光学・ケルビンフォース複合プローブ顕微鏡の開発と機能性有機薄膜の光物性評価
Project/Area Number |
16360022
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
尾笹 一成 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 先任研究員 (10231234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 英輔 独立行政法人理化学研究所, 局所時空間機能研究チーム, 研究員 (40333322)
磯島 隆史 独立行政法人理化学研究所, 加藤分子物性学研究室, 先任研究員 (40271522)
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Keywords | ケルビンプローブ / ナノプローブ / 有機薄膜 / 表面電位 / 近接場光 |
Research Abstract |
本研究の目的は、有機薄膜材料に見られる表面電位やその光照射による変化をナノスケールで調べる手法として、近接場光を照射可能なケルビンプローブ走査顕微鏡を開発し、実際に表面電位の変化を計測することにある。さらにその知見を利用して有機薄膜の物性の制御ならびに向上も目指している。最終年度である本年度は、近接場光が照射可能なファイバープローブによる表面電位の測定技術の確立、コンタクトマスク露光によるAlq3膜へのパターン光照射とそれによる表面電位変化のケルビンフォースプローブ顕微鏡による測定、電界変調分光によるAlq3薄膜の分極特性の測定、Alq3の精製実験とその効果の評価検討などを行った。近接場光用のファイバープローブ(市販品)にFIB加工を施すことによって共振周波数を低くし、さらにケルビンフォース測定用に開発したプローブホルダーを利用することによって、表面電位の測定と同時に近接場光が照射可能な「近接場光・ケルビンフォース複合プローブ顕微鏡」を開発することに成功した。これによって本研究の最大目標であった上記複合プローブ顕微鏡が実用化できる見通しとなり、その最終確認のための光照射実験を年度内に完遂する予定である。機能性有機薄膜の代表例であるAlq3の表面電位とその光照射による消滅のメカニズムについては、従来、分子配向の無秩序化がその原因とされてきた。しかし我々の開発している「近接場光・ケルビンフォース複合プローブ顕微鏡」の予備実験より、それはほぼ間違いで光励起されたキャリアの移動によって表面電位が消滅していることが明らかになった。これらの成果については現在論文発表(3-5件)の準備を進めているところである。ケルビンフォース測定が可能であるファイバープローブについては、我々の研究成果を踏まえて、より低共振周波数のものをつくる試みが民間企業によって始まっている。
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