Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 啓介 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80026244)
神山 崇 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教授 (60194982)
森井 幸生 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (80354893)
木村 英彦 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 講師 (60345923)
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Research Abstract |
(1)ステンレス鋼SUS316NGの平滑材の疲労試験を行い,繰返しにともなう回折線幅の変化を検討した.初期に機械加工によって700MPa程度の大きな引張残留応力が導入された場合,比較的負荷応力が大きい場合には,繰返しの初期に大きな残留応力の減少があり,その後はほぼ一定であった.これに対して低負荷応力では,その減少量が小さいものの,やはり初期の減少量が大きく,その後の変化量は小さかった. (2)ステンレス鋼SUS304および炭素鋼SM570の突合せ溶接継ぎ手の,溶接部近傍の残留応力および回折線幅をX線法にて測定した.ステンレス鋼では,回折強度のS-N比が低く,十分な信頼性を確保することは困難であったが,ほぼ残留応力分布が評価でき,次年度の中性子法による測定結果との比較の準備ができた. (3)SiC粒子分散アルミニウム合金複合材料平滑材の疲労損傷評価を行った.疲労過程での強化材のSiC粒子および母材のアルミニウム合金相の各格子ひずみと負荷応力との関係を明らかにした.弾性特性に顕著な変化は認められなかったが,回折線幅は,破断前に急増し,これより損傷評価が可能と考えられる. (4)SiC長繊維強化チタン合金複合材料平滑材の疲労損傷評価をX線法で行った.長繊維強化複合材料においては,低負荷応力では強化繊維が破断せずに母材中のみをき裂が伝ぱし,強化繊維に架橋応力が作用する.その架橋応力をX線法で測定し,遮蔽効果が説明できた.なお,中性子法では,十分な回折強度が得られず,現時点での測定は困難であることがわかった. (5)ECAP法によってナノオーダの結晶粒径に調整した銅に対して一軸引張荷重下でのその場測定を行った.ナノオーダの結晶の場合,負荷過程で増加した回折線幅は,除荷によって減少し,可逆的な変化が認められた.これは,通常材の挙動とは大きく異なり,塑性変形機構の検討に重要な情報が得られた.
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