2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属積層薄膜化に伴う疲労・電気的特性変化とその幾何学的構造支配因子
Project/Area Number |
16360056
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Research Institution | OKYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鳥居 太始之 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80033249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 憲一 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (50294434)
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Keywords | 膜積層材料 / 銅膜材料 / 疲労損傷 / 疲労き裂 / 電気抵抗 / 超音波 / エポキシ樹脂接着 / 膜厚さ |
Research Abstract |
(1)超音波の音圧反射率計測と疲労損傷評価 音圧反射率の変化が材料表面の弾性的性質と関連することを市販の9種の材料を用いて明らかにし,超音波探傷映像装置の新たな使用法を開発した.その音圧反射率の疲労過程の変化において,積層膜拡散接合では減少するのに対して,エポキシ接合膜材ではほとんど変化しない結果を得た.また,疲労損傷形態は拡散接合膜材ではすべり損傷が,一方エポキシ接合膜では局所の盛り上がり損傷が支配的であり,積層薄膜の疲労過程の樹脂層の有無という幾何学的構造因子が影響していることを,100μmと50μmの銅膜を用いて実験的に明らかにした.これらの結果は,積層基材から接合膜材への変位伝達における絶縁樹脂接着層の影響を理論的に考察する必要性を示し,重要な成果であった. (2)膜材・積層薄膜材の疲労損傷形態と電気抵抗変化の相関 膜厚さ100μm〜30μmの銅膜を樹脂接着した積層膜材の疲労損傷形態は,膜厚さにかかわらず盛り上がり部において生じ,至る所にき裂(複数き裂)が観察された.そのき裂は膜厚さが大きいほど観察されやすいこと,またこのような疲労損傷が生じると電気抵抗は増加し,疲労の初期ではき裂が集合する領域で特に著しいこと,および膜厚さが小さいほどその電気抵抗増加の絶対値は大きいが,初期電気抵抗値との比率をパラメータとして用いれば膜厚さに依存しない結果として整理できることがわかった. また樹脂接着をしていない膜厚100μmの純銅膜材単体についても疲労に伴う電気抵抗の変化を調べた.その結果,切欠き円孔から疲労損傷(すべり線)が発生し疲労き裂に成長するまでの疲労の初期段階において,銅膜材の電気抵抗は一旦大きく減少した後に増加し,繰返し負荷前の電気抵抗よりも若干低い一定値を示した.繰返し負荷は与えずに電気抵抗変化のみを同時に測定した対照実験では上述のような電気抵抗の変動は観察されなかったことから,電気抵抗を計測することで,銅膜材単体の疲労初期段階における定量的な損傷評価の可能性が示された. (3)樹脂積層銅膜材の疲労き裂進展と電気抵抗変化の相関 膜厚さ100μm〜30μmの積層銅膜材の疲労き裂成長に伴って電気抵抗は増加した.この増加は薄い膜材で著しいが,初期の微小き裂の抵抗値との比率をパラメータとして用いれば,膜厚さに依存しない結果であった.なお,銅膜上のき裂は圧縮負荷においても電気抵抗は低下することなく,き裂は開口状態でありスリットとしての理論値とよく一致することを明らかにした.
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Research Products
(5 results)