Research Abstract |
前年度までは,研究代表者らが提案・開発してきた機械加工に化学作用を積極的に取り入れた複合式研削CMG(Chemo-Mechanical-Grinding)技術で,化学反応により物質表層の障壁エネルギを低くし原子(格子)の配列を乱すことなく材料を除去加工ができた.また,8"のSiウエハを30μmの薄さまでの薄片化に成功した.本年度は,12"の大口径Siウエハを対象に,CMGの加工能率の向上を目指して取り組んだ.得られた成果を次のように要約できる. 1.加工プロセスの確立については,(1)実験計画法に基づいて,砥石のボンド剤,化学成分添加物および形状に実験を行い,CMG砥石成分の組み合わせの最適化を行なった.(2)フィールドテスト加工を行ない,SUMCOや東芝セラミックスなどのベアウエハメーカーに供試品を提供し,生産現場からの評価を受けた. 2.加工メカニズムの解明については,昨年度でほぼ終了した.今年度は,(1)CeO_2+Si→(Ce_<1-x>Si_x)O_2の不定比化合物の平衡図作成に取組み,加工生成物であるアモルファスの解明を試みた.(2)加工中のSiウエハ表面の温度分布を測定し,加工圧力と温度,及び加工終点との関係を明らかにした. 3.計測・評価については,(1)ウエハの形状測定用on-machine計測システムを開発して,安定して加工中のウエハのTTV,表面及び裏面の寸法が得られるようになった.(2)加工表面の微細解析においては,トヨタ自動車(株)の協力を得て,単結晶の原子配列のAMF像が得られるようにいたった.また,(3)オーストラリアのNanostructual Analysis Network Organizationに依頼し,CMG加工品の表面ナノ構造の外部評価を行い,従来のCMP品以上の表面品位が得られた. 4.今後の展開については,共同研究先のトヨタ自動車(株)との間に,CMGを利用した技術のVB設立に向けて,FS(Feasibility study)を開始している.この計画では,今後2年間をかけて,マルチヘッド/送り機構を有する生産用プロトタイプを開発し,ユーザーへの試験加工や評価サービスを行なう.
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