2004 Fiscal Year Annual Research Report
流れの可視化による中高速歯車装置の効率的な冷却と潤滑手法の検討
Project/Area Number |
16360077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
北條 春夫 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (40108238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 茂樹 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教授 (30272719)
森 正人 東京工業大学, 精密工学研究所, 助手 (90361774)
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Keywords | はすば歯車 / 潤滑 / 冷却 / 流れの可視化 / 透明歯車 / 水中 / トレーサ |
Research Abstract |
潤滑油を効率的に歯車の歯面,特にかみ合いを終了して発熱した直後の歯面に供給するための基礎資料として,かみ合い部の流れの挙動を実験的に明らかにすることが本研究の目的である. 特に近年最もよく用いられる,はすば歯車を対象としている.この目的のため,透明なアクリル樹脂ではすば歯車を製作し,歯車のかみ合っている状況が歯車の内部から見えるようにした.この歯車対を用いて,かみ合い部の流れの可視化を行うにあたり,レイノルズ数による相似則に基づき,歯車の回転数を下げることができるように,歯車対の寸法に比べて十分大きいとみなせる透明な水槽を製作してその中で水につけて運転している.また,歯車の内側から観察ができるようにするために,歯車は中空として片持ち軸に取り付ける構造とし,その中空部には外部から鏡を固定して,水槽外の高速度カメラに画像を導いた.従来空気中で歯車を運転した際に比べて,歯車の回転数はレイノルズの相似則に基づき,概ね1/10程度となっている.この結果,周速度は従来が20m/sまたはそれ以上であった条件に対して,2m/s程度となった.また,空気中では流体を可視化するためのトレーサとして,流動パラフィンを発熱電線に塗布して煙を発生させていた.水中では,生クリームをトレーサとして用いたり,ポリスチレンの微小粒を水に懸濁させて追跡したりできることがわかった.これらのトレーサは水に近い比重を持っているので,可視化がより容易になった. これらにより,歯車のかみ合い領域の流体の動きを,従来では観察することができなかった部分について可視化することに成功している.この流れの可視化結果は,基本的には歯と歯の間の隙間の体積の変化に応じて,流体が吸い込まれることを示しているが,歯がねじれていることによる軸方向の流ればかりでなく,歯溝から歯溝への流れも含めて明らかにできることが判明した.
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