2004 Fiscal Year Annual Research Report
ワーク・ツール間の6自由度完全相対運動を実現するナノメートル精度超精密機械の創成
Project/Area Number |
16360078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大岩 孝彰 静岡大学, 工学部, 助教授 (00223727)
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Keywords | 工作機械 / 三次元座標測定機 / 運動誤差補正 / パラレルメカニズム / 熱変形補正 |
Research Abstract |
本研究では,内外力や熱による機械の変形を補正するために,工作物を搭載する定盤とツールの間の相対的な6自由度運動を受動的なパラレルメカニズムを利用して正確に計測し,機械の運動を補正・制御する手法を提案している. まず,計測分解能の最小化と等方化を目的としたリンク配置の最適設計を行った.微小運動学を用いて最大特異値と条件数を評価指数として最適なリンク配置を探索した,この結果,7本のリンクを並列に等角度間隔で配置した場合に最も測定分解能と等方性が向上することがわかった.次に,リンク初期長さやジョイント位置などを表す機構パラメータを正確に推定する,すなわち機構の校正手法として,高精度なリニアスケールを内蔵した受動リンクを用いる方法を提案し,数値シミュレーションを行った.パラメータ推定は,7本の内の6本を取り出して得られる7通りの順・逆運動学計算から7本のリンク変位誤差を算出し,それらが最小となるように最小二乗法を用いて行われた.数値シミュレーションの結果,リンク変位誤差が減少し,パラレルメカニズムの出力節の位置および姿勢誤差が推定前の数パーセントにまで減少することが確認できた.さらに試験機を用いた実験によりその効果を確認した.6自由度パラレルメカニズム型三次元座標測定機に1本の受動リンクを追加して行った1インチ球の球径測定では,校正前に78μmほどあった径の誤差が7μmほどに減少した. さらに,計測精度の検討を行った.自重の変動による各部材の変形を検討した結果,球面ジョイントに使用するボールシャンクの弾性変形が最も影響が大きいことがわかった.実測の結果,剛性は約45N/μmであり,たわみを0.1μm以下にするためにはこれにかかる力の変動を4.5N以内に納めればよいことがわかった.さらに温度変動の影響についての調査を行い,計測装置全体の熱膨張の影響を0.1μm以下にするためには,室温変動を0.4°以下に抑えればよいことがわかった.
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