2005 Fiscal Year Annual Research Report
接触腐食防止と結合層強化による真空大気両環境対応固体潤滑膜の研究
Project/Area Number |
16360081
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Research Institution | Kyusyu Institute of Technology |
Principal Investigator |
松田 健次 九州工業大学, 工学部, 助教授 (40229480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 満昭 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 客員教授 (00404103)
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Keywords | トライボロジー / 固体潤滑剤 / 二硫化モリブデン / スパッタリング / 転がり軸受 / 結晶配向性 / 酸化 / 寿命 |
Research Abstract |
真空と大気の両環境下で優れた摩擦寿命を有する二硫化モリブデンスパッタ膜の構造を提案し検証することを目的とし,まず,SUS440C製ローラに被覆した二硫化モリブデンスパッタ膜の摩擦寿命に及ぼす膜密度と大気湿度環境下での保管の影響を調べた。その結果,二硫化モリブデンスパッタ膜の密度が大きいと腐食による摩擦寿命の低下が小さいが初期の摩擦寿命は短いこと,二硫化モリブデンスパッタ膜の密度が小さいと腐食による摩擦寿命の低下が大きいが初期の摩擦寿命は長いことを明らかにした。 次に,二硫化モリブデンスパッタ膜の密度によって摩擦寿命の長さが異なる原因について調べ,以下のことを明らかにした。(1)密度3.7g/cm^3以上の二硫化モリブデンスパッタ膜被覆ローラは膜厚を増加させても摩擦寿命は長くならない。この原因は摩擦によって膜と基材間で膜の剥離が生じるためである。(2)密度2.7g/cm^3以下の二硫化モリブデンスパッタ膜被覆ローラは膜厚の増加と共に摩擦寿命が長くなる。この原因は膜の剥離が生じないためである。(3)密度3.7g/cm^3以上の二硫化モリブデンスパッタ膜に酸素を混合していくと,酸素含有量が15at%を越えると膜の剥離を生じなくなる。(4)膜の剥離のしやすさには結晶配向が関係している。二硫化モリブデン結晶のC軸が基材に対して垂直の場合は剥離しやすく平行の場合は剥離しにくい。 以上の知見に基づいて,上層に耐食性に優れた高密度膜を下層に基材との結合力が大きい低密度膜からなる二層膜構造を提案し,この膜の摩擦寿命を測定した。その結果,大気湿度環境下に保管しても腐食による摩擦寿命の低下が少なくしかも摩擦寿命が長いことを確認した。
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Research Products
(3 results)