2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16360093
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
関 眞佐子 関西大学, 工学部, 教授 (80150225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板野 智昭 関西大学, 工学部, 専任講師 (30335187)
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Keywords | 微小血管 / 糖鎖 / 物質輸送 / 電荷 |
Research Abstract |
血管内皮細胞表面の糖鎖層(glycocalyx)の微細構造を基に数理モデル作り、それを用いて糖鎖層の生理的意義を流体力学の観点から調べた。昨年度に引き続き、(a)血液と血管外組織間の物質輸送における選択的透過性について研究を進めるとともに、(b)血液から内皮細胞への力学的刺激の伝達について研究を開始した。(a)に関しては、昨年度構築した糖鎖層のモデルに電荷を加えてモデルの拡張を行い、糖鎖および溶質の表面電荷が物質輸送に与える影響を調べた。動物実験に対応して、物質輸送は電荷の有無あるいはその符号に大きく依存することが分かった。特に、負に帯電した溶質は、電荷をもたないか正電荷をもつ同じサイズの溶質に比べて、反射率が極めて大きくなることが示された。また、ナノ・スケールをもつ糖鎖層の分子構造とミクロン・スケールの糖鎖層全体、血管壁の物性との関係についてマルチスケールを取り扱う解析を行った。糖鎖層から内皮細胞間隙を通り血管外組織に到る流速分布を求め、水の透過率を評価した。得られた微小血管壁の透過率は動物実験を説明する結果となり、水の輸送に対しては糖鎖層より内皮細胞間隙の方が格段に大きな抵抗となっていることが示された。実験では計測が困難な、内皮細胞表面および細胞間隙に与えるせん断応力を評価し、細胞の力学応答として水の透過率が制御されている可能性についても議論した。(b)に関しては、糖鎖層の微細構造をもとに、血液流れの応力が糖鎖を通して内皮細胞に伝達される力学モデルをいくつか考案して、現在検討を続けているところである。
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