2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16360093
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
関 眞佐子 関西大学, 工学部, 教授 (80150225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板野 智昭 関西大学, 工学部, 専任講師 (30335187)
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Keywords | 微小血管 / 糖鎖 / 物質輸送 / 応力 / 電荷 |
Research Abstract |
血管内皮細胞表面の糖鎖層(glycocalyx)の微細構造を基に数理モデル作り、それを用いて糖鎖層の生理的意義を流体力学の観点から調べた。本年度は、最終年度として、(a)血液と血管外組織間の物質輸送における選択的透過性について研究をまとめるとともに、(b)内皮細胞への力学的刺激の伝達、(c)血球に与える応力について研究を進めた。(a)に関しては、円形断面および矩形断面をもつ流路の表面が電荷をもつ場合について、帯電した溶質の移動と媒質の流れを解析した。その結果、流路表面と溶質が同符号に帯電していると、反射率が増加して、浸透圧による媒質の移動が促進されることが定量的に示され、糖鎖層および溶質のもつ電荷が物質輸送に大きな影響を与えることが示された。(b)については、血管内腔から糖鎖層を通り、内皮細胞間隙を経て血管外組織へと繋がる一連の経路を流れる流体(水)の運動を解析して、流れが内皮細胞表面に与える応力を評価した。その結果、内皮細胞表面に働く壁応力は、糖鎖層が存在することにより内腔側が極めて小さくなるのに対して、細胞間隙側は高分子の有無に関わらず格段に大きくなる可能性が示唆された。(c)については、白血球が細静脈の血管壁に粘着している場合の白血球周りの速度場を数値解析により求め、動物実験によりμPIV法で得られた速度分布と比較した。動物実験による速度場は、顕微鏡の深さ方向の情報が欠如しているので、数値解析結果からこれを補い、生体内において白血球表面に働く応力分布を求めた。
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