Research Abstract |
予混合気のレーザ着火メカニズムに関しては次のことがわかった.(1)レーザ照射直後に球状のプラズマが生成され,その球状部からレーザ軸の正負両方向に直線状に急激に伸びていく様子が,フレーミングICCDカメラにより確認できた.その後,プラズマは全体的に膨張していき,楕円球状になりながら,その発光強度は時間経過とともに減少する.続いて,楕円球状から中心部でくびれが生じ,3マイクロ秒程度で発光が確認されなくなる.(2)入射エネルギの増加に伴ってプラズマが空間的に大きくなる.特にレーザ誘起プラズマは,レーザ入射軸方向の膨張にエネルギが使われている.(3)レーザ照射後,20〜200nsでは加速された電子における制動放射と思われる連続的自発光スペクトルが紫外光領域に見られる.この発光のあと,5μs程度までレーザ光の集光点付近の雰囲気ガス中に存在するO, H, C, Nからの原子発光が確認された.(4)プラズマ内自発光強度の空間分布を調べた結果,レーザ照射直後の制動放射からの発光過程では,レーザとプラズマが接触すると思われる部分において強い発光が観察され,このことはプラズマがレーザ側に成長していく機構を示すものであると考えられる.また,その後において発光強度は,得られた画像と一致するような空間分布をとり,このような発光強度の分布は,プラズマ内における電離度の分布を示すものと思われる.(5)プラズマの発光が消滅した領域に,球状の火炎がシュリーレン法により確認され,その後はレーザ軸に垂直方向に膨張する部分と,レーザ軸と平行にレーザ側へ膨張する部分が観察できた.前者の部分がさらに膨張し,最終的に安定したバーナ火炎が形成される.前者の領域の長さと入射レーザエネルギの間に比例関係がある. また,バーナやエンジンシリンダ内において,予混合気の火炎面から生じる局所的な自発光スペクトル(OH*,CH*,C2*)を検出し,その比から当量比を求め,上記着火メカニズムを解析するための基礎資料を得た.
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