Research Abstract |
走行制御の基礎実験として,身長127cm,体重31kg,全12自由度の人間型2足ロボットHRP-2LRを用いて走行,横走行,うさぎ飛び,片足飛び(けんけん)などの動作を実現した.実現された走行動作は接地期0.3s,空中期0.06s,平均速度0.58km/hであり,床面に凹凸の存在しない平地上で実験を行ったものである. 走行の高速化をはかるため,HRP-2LRの足部にバネを挿入する効果についてシミュレーションを行い,適切なバネ定数を決定した.このバネ定数を実現するために,板バネ,ねじりコイルばね等を検討し,ねじりコイルばねを用いることで,必要なバネ定数と動作範囲が得られることを見出した.これを用いて走行中にはバネによるエネルギーの吸収・開放を行う一方,歩行中には通常の足部として機能するメカニズムを設計し,HRP-2LRの足部にこの機能を付加する改造工事を行った. ゲイト・モーフィングによる走行安定化制御の基礎的な解析として,目標軌道の時間スケーリング変化によるダイナミクスへの影響をシミュレーションにより検討し,適切な軌道パラメータの時間スケーリングによって有望な制御性能を得られる見通しを得た.加えて,足部と床面との接地特性を考慮した制御系の設計とシミュレーションをいくつか行い,その性能を評価した. また,人間型の走行ロボットにおける足首の制御論的な意味を考察するため,簡略化したモデルを用いて出力零化に基づく走行制御系を設計し,上半身の姿勢変化による速度制御,足首の構造によるエネルギー効率の違いをシミュレーションにより検討した.この結果,足部なしの点接触の走行に比較して,足部を持ったロボットのほうがエネルギー効率に優れていることが示された.
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