Research Abstract |
本研究は,耐熱性を有し,高性能な高保磁力を有する希土類系の交換結合型ボンド磁石用素材磁石の開発を目的に行った。本年度は希土類金属としてはPr, Didymium (NdとPr複合金属,以下Diとする)を取り上げ,Pr-Fe-B系並びにDi-Fe-B系組成を主体に,これらに種々の添加物(Nb, V, Dy, Tb, Y, Ti, Si)の複合添加を考え,組成,ロール周速度(急冷速度),特に熱処理条件としは,フラシュ・アニーリングを含め,これら諸条件が急冷薄帯に及ぼす影響を,組織観察を含め磁気特性等を綿密に検討した。次にこれら高性能,高保磁力の急冷薄帯試料を用いて圧縮成型ボンド磁石を作製し,それらの磁気特性,特に温度係数,磁束の不可逆変化について,特に耐熱性に注目し,詳細に検討した。 この結果,Di_<12.5>Fe_<68.8>Co_<10>Nb_1V_1Y_0.7B_6組成ボンド磁石(磁石特性: Br=0.59T, HcJ=1550.3kA/m, (BH)=61.9kJ/m3)の,200℃における磁束の不可逆減磁率は-1.86%/℃であり,市販のMQP-Oボンド磁石と比し,約1/4という良好な値ボンド磁石が開発された。 Pr系合金では,Pr_11Fe_68.5Co_8Ti_1.5B_10.5Si_0.5組成において,高保磁力のボンド磁石の作製が可能になったが,実験が緒に就いたばかりで,耐熱性に関しては,市販のボンド磁石に比べ良好であるが,本研究のDi系合金を用いたボンド磁石より劣ることが知られ,今後高保磁力が得られることが示唆されたので,添加物の複合置換を考え,高保磁力で耐熱性のあるボンド磁石を開発したい。
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