2005 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ電磁波をキャリアとするユビキスチップ間通信回路の研究
Project/Area Number |
16360161
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐野 栄一 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (10333650)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤澤 正道 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 助教授 (30212400)
山本 眞史 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10322835)
尾辻 泰一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (40315172)
|
Keywords | ユビキタス / ワイヤレス通信 / 高周波回路 / 化合物半導体 / テラヘルツ / メタマテリアル / 光導電サンプリング / アンテナ |
Research Abstract |
本研究は、数100GHzから1THz帯域の搬送波を利用した小型、低電力な送信・受信集積回路を実現することを目的とする。本年度の研究成果の概要は以下の通りである。(1)昨年度に新たに開発したアクティブデバイス・パッシブデバイス一括電磁界解析プログラムを用いて、超高速な高電子移動度トランジスタ(HEMT)によるアクティブ回路と平面アンテナを同一チップ上に形成したアクティブ集積化アンテナ(AIA)を設計、試作した。試作回路をウェハ状態で測定し、発振AIAで110GHzの動作を確認した。アクティブデバイスを分布定数デバイスとして扱う電磁界解析による計算値は実験値と0.9%の精度で一致し、従来のアクティブデバイスを集中定数デバイスとして扱う電磁界解析法より高精度であった。さらに高周波な領域ではアクティブデバイスを分布定数デバイスとして扱うことが必須となると予想される。また、発振AIAを1GHzで振幅変調し、同一ウェハ上のダイオード検波AIAにより受信することにより、1GHzのスペクトルを得た。以上を国際会議にて報告した。(2)研究開始時にはフォトニック結晶を導入することによりパッシブデバイスの性能向上を図る計画であった。しかしながら、フォトニック結晶は周期構造でのBragg反射を動作原理とするため、単位セルのサイズが波長オーダになり集積化に難点がある。そこで、人工的構造により自然界には存在しない電磁特性(負屈折率や磁気導体など)を実現するメタマテリアルに注目した。メタマテリアルは集中定数デバイスにより実現でき、集積化に有利なためである。メタマテリアルの一種として、マイクロストリップパッチアレイにより実現される周波数選択型高インピーダンス表面を詳細に検討した。単位セルサイズの更なる小型化のために積層化によりキャパシタンスを増加させる方法を提案した。プリント基板を用いて実験を行い、従来構造と比較して約1/3の小型化が達成できることを示した。この成果を国際会議にて報告した。また、周波数選択型高インピーダンス表面を広帯域アンテナのバックプレーンとして使用した場合の放射特性を測定し、金属バックプレーンと比較して20dB以上の利得向上を果たせ、自由空間中の広帯域アンテナ特性と同等であることを明らかにした。(3)テラヘルツ帯空間フィルタの解析を進め、異常透過現象がFano共鳴のアナロジーにより説明できることを明らかにした。このことをまとめた論文は受理された。
|
Research Products
(8 results)