Research Abstract |
昨年度作成したアンプは,条件がよい場合はノイズの少ない信号が計測できるが,接触抵抗が数百MΩを超える被験者の場合は,ノイズの影響を強く受けることがわかった.昨年度計測した被験者では,数百MΩを超えるような被験者はいなかったが,計測する時期の問題もあったと思われる.このため,アンプの改良を行い,数百MΩを超える抵抗値にも対応した. マイクロマシンの技術を用いて高集積可能なアクチュエータを試作し,深さ方向に動くベースを作成した.今後は,このアクチュエータに電極を取り付け,脳での計測が可能かどうか,発生できる力やノイズの影響などを調べていく予定である.また,100個中3個程度しか動かないため,歩留まりを改善することも考えたい. また,生体信号から動きを推定する新しい技術として,隠れマルコフモデルを用いた指の動き推定を行った.14個の前腕の筋肉から筋電信号と5本指の指先の位置を3次元一計測装置を用いてを計測し,5本の指がそれぞれ上がっているか,下がっているかの状態を推定した. さらに,103個の脳の神経活動から9個の筋肉の活動を推定し,4つのボタンの中から3つを選び,視覚性追従運動を行っている腕の運動を記録した.これらのデータを用いて,各ボタンで静止しているときの神経活動,筋電信号,姿勢の間の関係を学習させ,これらのパラメータを固定した後,運動中も含めた神経活動だけから,長い時間の運動であっても,安定して軌道を推定することができた.今後は,神経活動の多点計測データを計測できるようなシステムを構築し,ブレインマシンインタフェースなどへの応用可能性を調べていきたい.
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